研究課題/領域番号 |
21K20850
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
椎原 正尋 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00907701)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 胆道癌 / リンパ節転移 / オルガノイド / 遺伝子解析 / 個別化医療 / ゲノム / 胆管癌 / 胆嚢癌 |
研究実績の概要 |
本研究では手術切除検体のDNA解析から、胆管癌のリンパ節転移に関するドライバー遺伝子を抽出し、ドライバー遺伝子変異が術前の血清や胆汁中でも同定可能かを検証する。術前診断ツールと、ドライバー遺伝子に対する標的療法の開発を目指す。さらにリンパ節転移を伴う胆管癌/伴わない胆管癌の増殖・浸潤形態の違いをオルガノイドを用いて観察する。 DNAの解析は当科での手術症例の切除サンプルのうちOCTcompoundで凍結しているサンプルから抽出することとした。2011年から2020年までの計53例(胆管癌38例、胆嚢癌13例、胆管内乳頭粘液性腫瘍(IPNB)2例)を対象とした。サンプルの腫瘍部と正常部それぞれからDNAを抽出して解析にまわした。胆管癌だけの解析の研究計画を予定していたが、サンプル数が少なく、また腫瘍含有率の少ないサンプルも含まれているため解析可能サンプル数がさらに少なくなることが予想されるため、比較対象として胆嚢癌とIPNBも含めて、胆道癌の解析とした。症例数が足りない場合は、さらにFFPE検体の追加をする予定である。53例のうち、血清または胆汁サンプルが保存されている症例は半数程度のため、liquid biopsyの解析には、追加で別症例の収集が必要である。 胆管癌オルガノイドの観察に関して、過去に培養した凍結サンプルを起こして再培養を試みたが、増殖に乏しく観察困難であったため、新しい症例から培養を試みる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
凍結検体の整理と把握に時間を要したため研究開始が遅れている。また、腫瘍部位、正常部位のそろった凍結検体数が少なかったため、胆嚢癌も含め、胆道癌の解析を行うこととした。シークエンスデータがそろったら解析を行いリンパ節転移ドライバー遺伝子変異を抽出する。 またオルガノイドの凍結サンプルを起こした際に、凍結前と同様に増殖するまでに時間を要するため、オルガノイドの観察が遅れている。新規症例を培養し観察する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
胆道癌切除サンプルのDNAのexome解析の結果からリンパ節転移に関わるドライバー遺伝子変異を抽出する。シークエンスデータ解析の結果と臨床データより、コホートを調節してリンパ節転移ドライバ-変異遺伝子を同定する。ドライバー遺伝子候補はliquid biopsyとして同定可能かを胆汁で検証する。 同時に切除サンプルより新たな胆道癌オルガノイドの培養を行う。リンパ節転移ドライバー遺伝子の標的療法の効果をオルガノイドで確認する。増殖アッセイとタイムラプス観察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に使用予定であったDNA解析費用を、研究の遅れから2022年度に繰り越すため。
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