研究課題
本研究では胆管癌の手術切除検体のDNA解析から、胆管癌のリンパ節転移に関するドライバー遺伝子を抽出する。リンパ節転移関連ドライバー遺伝子変異が術前の血清や胆汁中でも同定可能かをliquid biopsyで検証し、術前診断ツールの開発を行う。さらにドライバー遺伝子に対する標的療法の効果を患者由来オルガノイドを用いて薬剤感受性から検証する。東京女子医科大学消化器外科で保存していた手術症例の切除サンプルのうち2011年から2020年までの計53例(胆管癌38例、胆嚢癌13例、胆管内乳頭粘液性腫瘍(IPNB)2例)を対象とし、核酸抽出から遺伝子解析(whole exome sequence, transcriptome sequence)を外部業者に委託し、現在解析結果待ちである。胆道癌オルガノイドの観察に関して、東北大学病態病理学分野で患者由来オルガノイドを数例培養している。ゲノム解析の結果からドライバー遺伝子変異が抽出出来れば、標的療法の効果を細胞増殖アッセイを行い検証する。胆道癌オルガノイドと併行して、過去に報告のほとんどない膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のオルガノイド培養法の確立と増殖形態の解明を試みた。胆道癌オルガノイド培養法に改変を加えた結果、Subtypeの異なる数種類のIPMNオルガノイド培養に成功した。共焦点顕微鏡によるタイムラプス観察では、オルガノイドが粘液を分泌する形態や分裂増殖する形態の観察に成功した。全エクソーム解析の結果から抽出したドライバー遺伝子変異の特異的阻害剤によってIPMNオルガノイドの増殖と粘液分泌が抑制された。さらに同一症例から培養したIPMCオルガノイドと膵管癌オルガノイドのtranscriptome解析の結果の比較からIPMCに高発現しているgeneXを同定した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
journal of personalized medicine
巻: 12 ページ: 789
10.3390/jpm12050789