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2021 年度 実施状況報告書

ヒトiPS細胞由来神経回路の動態可視化による22q11.2欠失症候群の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K20860
研究機関東京大学

研究代表者

田宗 秀隆  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (40908498)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワードHuman iPS cell / 22q11.2 deletion / Imaging / Neural development / Synapse
研究実績の概要

本研究では、ヒト多能性幹細胞を用いてヒト由来神経細胞を誘導し、生きたマウスの脳内でヒト神経細胞の経時的なイメージングによる評価系を確立することを目指す。この系を用いて、統合失調症の最大のリスク因子として知られるヒト22q11.2欠失症候群患者由来神経細胞における神経回路動態がどのような特徴を持つのか検証をするのが本研究計画の概要である。
課題採択時までに、ヒト22q11.2欠失症候群患者由来のiPS細胞株を入手し、いくつかの培養法で神経細胞を誘導することに成功した。2021年度は、免疫拒絶を受けないCAG-GFPマウスから得た神経細胞をホストマウスに移植するという実験を繰り返し、細胞移植法の改良に取り組んだ。その結果、安定した移植成績が見込める移植方法が確立できた。また、移植後のイメージングに耐えるラベル効率・蛍光タンパク発現量が得られ、かつ毒性が許容できる範囲内のラベル法を見出すべく、AAV・レンチウイルスを中心に複数のラベル法を検討した。その結果、使用している多能性幹細胞の培養法と相性の良い候補を見出しつつあり、これらを統合して現在はヒト神経細胞の定着について評価を進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

課題申請時に設定した以下の3つの具体的なマイルストーンの進捗状況は以下の通りであり、研究はおおむね順調に進展している。
A. 細胞移植法の改良(ホスト側因子/ドナー側因子):ドナー細胞側の影響を切り分けて細胞移植法を改良するため、2021年度は免疫拒絶を受けないCAG-GFPマウスから得た神経細胞を用いて胎生期・新生児期のホストマウスに繰り返し移植を行った。既報にある化合物を用いた胎生期移植法では、定着する細胞はたしかに増加したが、生後の発達の経過を追うとホストマウスの多くが水頭症を発症し、長期予後の生存成績も不良であることがわかった。一方、新生児期のホストマウスを用いることで、定着する細胞数は胎生期には及ばないものの、安定した移植成績が見込めることがわかった。この結果を踏まえ、現在、ヒトES細胞・ヒトiPS細胞由来の神経細胞(コントロール株)の異種移植を行っている。いくつかの誘導方法・培養日数で移植を試み、ヒト神経細胞の定着に関して現在評価を行っている。
B. 効率的な蛍光タンパク発現法の検討:移植後のイメージングに耐えるラベル効率・蛍光タンパク発現量が得られ、かつ毒性が許容できる範囲内のラベル法を見出すべく、AAV・レンチウイルスを中心に複数のラベル法を検討した。その結果、使用している培養法と相性のよい候補を見出しつつあり、Aの実験において使用開始した。
C. 細胞移植後のマウスへの介入操作系の開発:細胞移植後のマウスを用いた神経回路や環境要因の操作に関する予備検討は2022年度の検討課題である。

今後の研究の推進方策

想定されたことではあるが、免疫不全マウスの飼育環境が実験遂行上極めて重要であることがわかった。そのため、研究目的達成に必要な実験環境整備を進めている。
2022年度も設定したマイルストーンに沿って研究を推進していく方針である。少量ながら移植後細胞塊の残存がみられるため、神経回路の影響が機能変化に結びつきやすいと考えられる22q11.2欠失症候群の患者さんから樹立したiPS細胞を用いる前に、より細胞自律的な変化が報告されている精神・神経疾患に着目し、Proof of conceptとしてコントロールと比較する実験を計画した。上記の実験計画変更について学内の倫理委員会で承認を得た。

次年度使用額が生じた理由

研究室で進行中の別の研究計画で同じ消耗品を用いており、その予算財源から消耗品購入費用を充当できたため、本予算に残額が生じた。研究計画の軽微修正が本学の倫理委員会に承認されたことも踏まえ、2022年度の研究使用計画については申請書に記載した項目を基準として効果的に利用していく。現段階で申請時との大きな変更はない。

備考

研究代表者が本申請の範囲外として所属する22q研究事務局での共著論文(Morishima et al., Am J Med Genet 2021, PMID: 34480405)について日本語解説を一般公開した。
また「22q11.2欠失症候群のある人とその家族の統合的支援のためのガイダンス」の分担執筆を行った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 医療・福祉・教育の困難と22q11.2欠失症候群をもつ子の養育者の心の健康

    • URL

      https://22q-pedia.net/library/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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