研究実績の概要 |
先天性四肢形成不全症は、出生時より四肢の形態異常を示す疾患の総称であり、臨床的・遺伝学的に多様な疾患である。代表的な疾患として、指趾に限局する裂手裂足症、短指症、合指症、さらに、長管骨の形成不全を伴う橈骨・尺骨欠損症、大腿骨形成不全症、中間肢異形成症などが挙げられる。われわれは、これまでに先天性四肢形成不全症120家系を集積し、そのうち80家系において、原因遺伝子を同定した。先天性四肢形成不全症の新規疾患成立機序の解明を目的とし、残る40家系の発症機序不明の先天性四肢形成不全症家系の検体を用いて、全ゲノム解析を含めた網羅的遺伝子解析を行った。 本年度は、昨年度未解析であった10家系を含めた、23家系28名の全ゲノム解析を施行した。その結果、両側裂手裂足症の患児および母に、裂手裂足症の原因遺伝子であるTP63のdeep intron variantを同定した。今回同定された変異は、-18494のdeep intronに位置する変異であり、本成果は、全ゲノム解析の有用性を示すものである。また、これまで行った全エクソーム解析の再解析によって、本邦初の46,XY男児におけるX染色体劣性PORCN non-Goltz spectrumの原因となるPORCN遺伝子のミスセンス変異、および、Focal dermal hypoplasiaの家族例におけるスプライス異常を引き起こすPORCN遺伝子のイントロン変異をそれぞれ同定し、報告した。
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