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2022 年度 実施状況報告書

精神障害をもつ患者でのヒストンメチル化修飾の調節障害ーゲノム変異を起点としてー

研究課題

研究課題/領域番号 21K20866
研究機関名古屋大学

研究代表者

加藤 秀一  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40784286)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2024-03-31
キーワード統合失調症 / 自閉スペクトラム症 / ヒストンメチル化 / リンパ芽球様細胞株 / 治療抵抗性統合失調症
研究実績の概要

ヒストンメチル化酵素 (HMT) 及びヒストン脱メチル化酵素 (HDM)の活性中心にあるゲノム変異が、統合失調症 (SCZ) 及び自閉スペクトラム症(ASD)の臨床表現型や本酵素の機能に与える影響は明らかでない。HMT及びHDMの活性中心にある稀なゲノム変異を足がかりとして、SCZ及びASD発症機序の一端を明らかにするため、研究代表者は、① 日本人1148名(SCZ患者 437名、ASD患者 187名、健常被験者 524名)を対象とした、25種類のHMT/HDMの活性中心にある稀なゲノム変異の遺伝統計学的解析、② ゲノム変異を有する患者の臨床表現型解析、③ 患者由来リンパ芽球様細胞株 (LCL) を用いた機能解析を実施した。その結果、①HMT/HDMの活性中心領域中の稀なバリアントとSCZとの関連が示唆された。 SCZ患者1例においてKDM5Bの活性中心領域中のナンセンスバリアントであるKDM5B p.W513*を同定した。②KDM5B p.W513*を有する治療抵抗性SCZの症例の臨床表現型を報告した。また、③KDM5B p.W513*を有する患者由来のLCLを用い、遺伝子発現解析及びH3K4のメチル化修飾を解析し、KDM5B発現低下とH3K4メチル化修飾の変化を認めた。KDM5B発現低下のみでH3K4メチル化修飾の変化は説明できず、他の細胞系を用いた解析を加えるなどして、このゲノム変異が本酵素の機能に与える影響を確認する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

KDM5B p.W513*以外に、病的意義があると想定されるゲノム変異を同定したが、患者由来LCL樹立に時間を要し、現在解析中である。

今後の研究の推進方策

KDM5B p.W549*の機能への影響を明らかにするためには、今後、健常者由来iPS細胞をゲノム編集し、神経細胞に誘導して解析を行うなど、KDM5B p.W549*が神経細胞の分化、成熟等に与える影響を確認する必要がある。

次年度使用額が生じた理由

すでに患者由来LCLを解析済みのゲノム変異とは別の病的意義のあると思われるゲノム変異を同定した。当該ゲノム変異を有する患者由来のLCLを樹立するのに時間がかかったため解析が終了せず、次年度使用額が生じた。未使用額は解析費用に使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The genetic architecture of schizophrenia: review of large-scale genetic studies2023

    • 著者名/発表者名
      Hidekazu Kato, Hiroki Kimura, Itaru Kushima, Nagahide Takahashi, Branko Aleksic and Norio Ozaki
    • 雑誌名

      Journal of Human Genetics

      巻: 68 ページ: 175-182

    • DOI

      10.1038/s10038-022-01059-4

    • 査読あり
  • [学会発表] KDM5B p.W549*が統合失調症発症に与える影響に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      加藤 秀一、森 大輔、羅 子堯、林 優、オトゴンバヤル ガンツォージ、名和 佳弘、 有岡 祐子、木村 大樹、久島 周、アレクシッチ ブランコ、尾崎 紀夫
    • 学会等名
      第44回日本生物学的精神医学会

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公開日: 2023-12-25  

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