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2021 年度 実施状況報告書

アセチルコリン受容体を介した腎機能障害改善メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K20874
研究機関長崎大学

研究代表者

中村 恭菜  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60908523)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード急性腎障害 / 敗血症 / マクロファージ / アセチルコリン受容体 / 細胞間相互作用
研究実績の概要

研究代表者は本研究において,神経を介した免疫系制御機構として知られるコリン作動性抗炎症経路 (CAP)の活性化が急性腎障害を軽減させる先行研究(Inoue et al: J Clin Invest 2016)に着想を得て,中心的役割を担うとされるマクロファージやアセチルコリン受容体に着目し腎臓保護作用を発揮するメカニズムの解明を目指した.既報の研究にてCAPの活性化にはマクロファージ上に発現するα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7nAChR)が重要であることがin vitroの実験で報告されているものの,in vivoでの証明はなされていない.
そこで,本研究にてマクロファージ特異的にアセチルコリン受容体を欠損させたマウス(LysM-Cre:α7floxマウス)を作成し,敗血症誘発時の全身炎症・腎障害につき評価した.その結果より,障害早期にはマクロファージのアセチルコリン受容体が不可欠であることを示した.
さらに,脾臓細胞のシングルセルRNA-sequencingを行い,マクロファージ以外にもアセチルコリン受容体シグナルを受ける細胞・遺伝子があるかを網羅的に解析した.解析結果から,マクロファージを含めた脾臓の免疫細胞が細胞間相互作用を有することを新たに同定した.
今後は,これらの得られた結果をもとに,免疫細胞における細胞相互作用を及ぼすリガンド・受容体の同定や,下流シグナルの探索を行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ノックアウトマウスを用いた実験により,仮説の証明を既に終えている.
さらにシングルセルRNA-sequencingによる網羅的解析により,アセチルコリン受容体刺激の影響を受ける細胞を同定した.実験結果より,本来想定していなかった脾臓の免疫細胞の細胞間相互作用が抗炎症・腎臓保護効果をもたらすことを見出しており,今後はその相互作用に関与する因子(リガンド.受容体や下流シグナルの同定)についても研究を展開する予定である.さらにこれまでの結果と合わせ,論文投稿準備を進めてゆく.

今後の研究の推進方策

得られた結果より,免疫細胞同士の細胞間相互作用が抗炎症や腎臓保護効果をもたらすという新たな知見が得られつつある.当初予定していた腎臓の尿細管細胞にフォーカスする以外に,脾臓における細胞ー細胞コニュニケーションを及ぼすリガンドや受容体の同定や下流因子の探索などの研究も推進しつつ,論文投稿準備を進めている.

次年度使用額が生じた理由

研究は概ね順調に進んでいるものの,新たに得られた知見の追求のため,今後更なる追加の実験(培養細胞を用いたin vitroの実験など)を予定しており,研究成果のまとめとしての学会発表や論文投稿は次年度に行うこととしたため.同上の理由で,電気計算機の購入を次年度に見送ったため.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Activation of α7 nicotinic acetylcholine receptors attenuates monocyte-endothelial adhesion through FUT7 inhibition2022

    • 著者名/発表者名
      Wu Chia-Hsien、Inoue Tsuyoshi、Nakamura Yasuna、Uni Rie、Hasegawa Sho、Maekawa Hiroshi、Sugahara Mai、Wada Youichiro、Tanaka Tetsuhiro、Nangaku Masaomi、Inagi Reiko
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 590 ページ: 89~96

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2021.12.094

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 循環器内科(第90巻第6号)2021

    • 著者名/発表者名
      中村恭菜,井上剛
    • 総ページ数
      148
    • 出版者
      科学評論社

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公開日: 2022-12-28  

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