研究実績の概要 |
In vitroでの検討において、 1) 健常人B細胞サブセット毎に培養した結果、IgD+CD27- Naive B cells(Naive B)に対しBCR+CD40 Ligand+IL-21+TLR9 Ligand(CpG)+IFN-γ刺激が入るとT-bet+CD11c+B cellsが最も誘導された。2) Naive B → T-bet+CD11c+B cells分化では高度のIL-6産生を伴った。3) 上記の分化ではp-S6およびグルコース輸送体(GLUT1)の発現増強を伴い、Flux analyzer解析にて解糖系:ECAR(>酸化的リン酸化:OCR)優位の代謝偏向を呈した。4) 解糖系阻害薬(特にHK2,GAPDH阻害薬)により、T-bet+CD11c+B cellsの増殖能およびIL-6産生は顕著に抑制されたが、酸化的リン酸化阻害薬では限局的であった。すなわち、抗体(IgG)産生能を伴う「形質芽細胞:Plasmablasts分化」が酸化的リン酸化に依存しているのに対して、IL-6産生に富む「T-bet+CD11c+B cells」分化過程は解糖系に強く依存している事が明らかになった。 SLE患者検体において、T-bet+CD11c+細胞は、A)疾患活動性・自己抗体(抗ds-DNA抗体)産生・活動性腎炎と強く関連し、B)血清中のIFN-γおよびIL-6と相関し、C)さらにはp-S6および解糖系マーカー (GLUT1)が高発現がみられた。 上記の根拠に基づき、このT-bet+CD11c+細胞に富むSLE症例の特徴・患者特性を同定・層別化し、その特性に沿った臨床応用(解糖系の是正をターゲットにした薬剤の可能性) 適切かつ戦略的かつ効率的な薬剤選択に繋げていきたい。
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