研究実績の概要 |
In vitro(健常人由来のB細胞用いた)実験系において1)-3)の結果、SLE患者検体を用いた検討において4-5)の結果が得られた。 1)T-bet+CD11c+B細胞は, naive B 細胞を由来としB細胞架橋+sCD40L+IL-21+CpG(Toll-like receptor 9 ligand)+IFN-γ刺激により高率に誘導され, 高度のIL-6産生を伴った。一方, 同刺激下でCS memory B細胞は形質芽細胞(Plasmocyte)へ分化し, 抗体(IgG)産生を伴った。 2)T-bet+CD11c+B細胞の分化過程では, ①刺激後1-12時間にmRNAレベルで、解糖系酵素の発現亢進し, 続いて3日後には②ECAR(extracellular acidification rate)>OCR(oxidative phosphorylation)の亢進、ミトコンドリアのCristaeが疎で解糖系優位の代謝偏向を呈した。対照的に, 形質芽細胞への分化過程では酸化リン酸化(OXPHOS)優位の代謝偏向を呈した。3)T-bet+CD11c+B細胞の増殖能およびIL-6産生は, 解糖系阻害剤であるHK2阻害薬(2-Deoxy-D-glucose), GAPDH阻害薬(Heptelidic acid)により顕著に抑制された。一方, OXPHOS阻害薬(BPTES, etomoxir, oligomycin, metformin)では限局的であった。 4)SLE患者末梢血では, T-bet+CD11c+B 細胞の割合が疾患活動性および活動性腎炎、さらに血清IFN-γ, IL-6濃度と正相関した。5)SLE-T-bet+CD11c+B細胞では解糖系酵素GLUT1/3, HK2, GAPDHの発現が亢進していた。以上より、T-bet+CD11c+B細胞はnaive B細胞より解糖系亢進を介して分化しSLE病態に関与する事が示唆された。
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