研究実績の概要 |
厳格な降圧治療の効果を検討した大規模ランダム化比較試験SPRINT、ACCORD-BPのデータを用いて二つの研究を遂行した。まず、SPRINTのデータを用いて、生活形態(独居か否か)が治療効果に影響を与えるかを検討した。結果として、誰かと同居している黒人では厳格な降圧治療の心血管イベント発症抑制効果が強く認められた一方で、独居の黒人では明らかな治療効果は認められなかった。この結果は生活形態という社会背景因子が降圧管理の効果に影響を与えてる可能性を示唆した。続いて、SPRINT、ACCORD-BPのデータに因果フォレストという機械学習モデルを応用することで、厳格な降圧管理の心血管イベント発症抑制効果が人によってばらつきがある(異質性がある)ことを明らかにした。効果の高い集団を同定し、ターゲットを絞ることでより効率的な介入を行う「高ベネフィット・アプローチ」という新しい概念を世界に先駆けて提唱し、その有用性を示すことに成功した。
- Inoue K, Watson KE, Kondo N, Horwich T, Hsu W, Bui A, Duru OK. (2022). Association of Intensive Blood Pressure Control and Living Arrangement on Cardiovascular Outcomes by Race. JAMA Network Open; 1;5(3):e222037 - Inoue K, Athey S, Tsugawa Y. (2023). Machine-learning-based high-benefit approach versus conventional high-risk approach in blood pressure management. International Journal of Epidemiology. (Online Ahead of Print)
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