酸分泌抑制剤の内服前後の患者を経時的に評価比較することで、消化管粘膜バリア機能ならびに腸内細菌叢の比較を行った。酸分泌抑制剤内服後は消化管粘膜バリア機能の低下が確認され、とくに回腸有意にバリア機能の低下を認めた。酸分泌内服薬中止後にはこの変化は改善した。また同時に酸分泌抑制薬内服後の腸内細菌叢においては口腔内常在菌の増加ならびにActinobacteriaの低下が確認され、これらの変化は小腸だけでなく大腸においても確認された。腸内の真菌叢は著明な変化を認めなかった。肝臓の線維化マーカーであるCAP値の著明な変化や脂肪肝の割合は短期間の内服においては著変を認めなかった。以上の結果より本研究結果からは長期間の内服では影響が出る可能性が否定はできないものであったが、短期間の酸分泌抑制薬はNAFLDへの影響は大きくないと考えられた。
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