身体活動や気温変化の評価が可能であるマルチセンサー搭載自由行動下血圧計を用いて、心不全患者における血圧変動の評価を行った。2022年度末(2023年3月)の時点で前年度より被験者登録が進み、合計で300名弱の被験者を登録することができた。コロナウイルス感染症の流行の影響により登録者数は伸び悩んだ部分もあったが、2022年度のみで 50名前後の被験者の登録を行った。これらのデータを用いた横断的解析を行ない、査読付き英語雑誌での発表と国際学会での発表を行うことができた。身体活動に対する血圧変動を示す”Actisensitivity”について、心不全患者の治療前後におけるマルチセンサー搭載自由行動下血圧計による前方視的検討を行った。その結果、心機能改善を呈した集団で身体活動に対する血圧変動の改善を認めた。これらの結果は、症例数は少数であったものの我々が知る限り世界で初めて心不全患者の治療前後の個人間の変化について24時間自由行動下血圧及び身体活動性を評価した報告であった。査読付き英語雑誌にこの結果を報告した(JACC Asia 2(3): 387-389; 2022)。 さらに、本年度2022年にも解析を進めており、本研究課題からの解析結果として、心不全患者における身体活動と血圧変動の関係について、2022年10月の国際高血圧学会学術集会で発表を行った。心不全患者における血圧変動については未解明の部分も非常に多く、今後も本研究を発展させていく必要がある。今後も引き続き登録症例数を増やし、将来的には縦断的解析を行う予定である。
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