研究課題/領域番号 |
21K20911
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高宮 彰紘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40912142)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 難治性うつ病 / 電気けいれん療法 / MRI / 海馬 |
研究実績の概要 |
電気けいれん療法(ECT)は薬物療法など他の治療で改善しない難治性うつ病に対して最も有効な治療だがその作用機序は不明である。人対象のMRI研究では海馬体積増大が繰り返し指摘されているが、この海馬体積増大がどのような細胞レベルの変化を反映しているのかは不明である。人対象の研究だけでは海馬のどのような細胞レベルの変化がMRIの体積増大を引き起こしているのかまでは調べることができない。そのため、マウスによる実験系の確立が必要だが、これまでにECTを受けたマウスの脳をMRIで調べた研究は存在しない。 令和3年度には、MRIを用いてマウスに対するECTが、人と同様に海馬体積増大を引き起こすかどうかの確認を行うための実験系の確立を行った。具体的には、マウスの固定脳を11.7TのMRIを用いて撮像し、そのデータをvoxel-based morphometry (VBM)を用いて解析した。ECTを受けたマウスがECTを受けていないマウスより海馬体積が増大していることを示すことに成功した。 この成果は、人対象の研究結果をマウスでも再現できる手法を確立したという意義とともに、人対象のMRI研究では調べることが不可能である、海馬の中でもどのような細胞生物学的な変化が起きているかを今後調べていく基盤となる。この実験系を用いることで、うつ病に対して最も有効かつ即効性のあるECTのメカニズムの理解を促進することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説通り、また人対象の研究と同様に、MRIを用いたマウスに対するECTの海馬体積増大を確認する実験系を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はECTによる海馬における細胞レベルの変化とMRIの体積増大の関連を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった抗体は翌年度に購入することになったため。
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