研究課題
研究活動スタート支援
精神科領域で最も有効な治療である電気けいれん療法 (electroconvulsive therapy: ECT) が海馬構造に与える影響を、マウスを対象とした核磁気共鳴画像法 (magnetic resonance imaging: MRI) と組織学解析を用いて網羅的に調べた。本研究ではまず臨床研究からわかってきたECTのMRI海馬体積増大という現象はマウスでも認めることを示した。さらにMRI体積増大部位の神経新生、シナプス密度増加、樹状突起分岐増加、スパイン増生という変化を突き止めた。
精神医学
ECTは特にうつ病に対して最も高い有効性と即効性にある治療法だが、その作用機序にはわかっていない点も多い。本研究は人対象の研究からわかってきたMRIの海馬体積増大という現象をマウスでも再現することに成功した。ここから、人対象では調べることが不可能なMRIの変化部位のミクロな構造変化まで迫ることができ、より詳細なECTの作用部位の特定に進むことができる。そこからECTと同等の高い有効性の新たな治療法開発につながる可能性がある。