研究課題/領域番号 |
21K20914
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
永井 洋介 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90912634)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 糖尿病腎症 / Rho-kinase |
研究実績の概要 |
細胞外フラックスアナライザーを用いて培養メサンギウム細胞のミトコンドリア呼吸を測定したところ、TGF-βの投与によって酸素消費速度が低下したが、ROCKのアイソフォームであるROCK1の欠損細胞ではそれが回復した。そこでPGC-1α、PPARα、CPT1A等の脂肪酸代謝関連遺伝子群の発現を評価すると、これら遺伝子の発現はTGF-β投与により低下し、ROCK1欠損によって回復した。そのメカニズムを検討したところ、ROCK1はAMPKのリン酸化を介してPGC-1αの発現を制御し、その下流の脂肪酸代謝を調整することが明らかになった。さらにROCK1は脂肪酸利用障害に加え、酸化ストレス分解酵素群の発現も調整し、酸化ストレス産生を制御することがわかった。高脂肪食投与マウスでは尿中8-OHdGの増加、メサンギウム細胞におけるミトコンドリア断片化の指標であるaspect ratioやcristae densityの低下、断片化に関わる蛋白であるリン酸化Drp1の増加、また単離糸球体における脂肪酸代謝関連遺伝子の発現の低下が起こっていたが、ROCK1欠損マウスではそれらの変化が抑制されていた。以上の結果から、ROCK1アイソフォームが脂肪酸の利用障害とミトコンドリア呼吸障害をもたらし、酸化ストレスの産生を促進することが示唆された。また野生型およびROCK1欠損マウスより初代培養したメサンギウム細胞を用いてRNA-seqを行ったところ、有意にかつ最も大きく変化したのは代謝関連酵素群であり、エネルギー代謝の調整はROCK1の主要な機能である可能性が示唆された。本研究成果を日本糖尿病学会、米国糖尿病学会にて発表し、現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに概ね進行しており、論文投稿も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
マウスだけでなくヒトメサンギウム細胞にも対象を広げて研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より順調に進行したため、2021年度の使用額が少なかった。しかし論文投稿の過程で、マウス由来細胞だけでなくヒト由来細胞の解析まで研究を進めることとなったため、2022年度に差額を使用し研究を行う予定である。
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