研究課題
近位尿細管細胞は腎臓の細胞の半数以上を占め、糸球体から濾過された原尿の大部分を再吸収し物質輸送を行うことで体液調節を行う、腎臓機能の重要な要素となっている。申請者らはACSM2(Acyl-coenzyme A synthetase medium chain family member 2)が近位尿細管細胞に特異的に発現していることを発見し、腎機能低下に伴い同遺伝子の発現が低下することを報告した(Watanabe H, et al. Am J Physiol Renal Physiol 2020)。本研究では現時点で不明なACSM2の機能の解明を目指すとともに、ACSM2が腎臓病診療に有効なマーカーとなり得るかを検討することを目的とした。ACSM2の機能解明のため、Acsm2遺伝子ノックアウトマウスを用いた基礎実験を行っている。所属研究機関において、Acsm2遺伝子ノックアウトマウスの繁殖を行った。Acsm2遺伝子ノックアウトマウスの発生や腎臓の発達はコントロールマウスと差がないことを確認した。Acsm2遺伝子ノックアウトマウスに、急性腎障害、慢性腎臓病の各種腎障害を生じさせることで、ACSM2の機能と腎障害との関連を解析中である。ACSM2の近位尿細管細胞マーカーとしての臨床的有用性を明らかにするため、ヒトの臨床検体を用いた解析を進めている。腎生検標本を用いたACSM2発現の解析と並行して、現在もさまざまな腎疾患の臨床検体の収集を続けており、腎臓の各種の病態とACSM2発現などとの関連を検討している。
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