研究課題/領域番号 |
21K20921
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
安岡 秀高 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤医師 (60909018)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | NAFLD / 単球 / 肝細胞癌 |
研究実績の概要 |
近年、非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)が原因となる肝細胞癌患者が増加しており再発率が非常に高いことから、肝細胞癌発生を抑制する治療法の開発が切望されている。最近 Programmed cell death protein 1 (PDー1)/PDー1 ligands (PDーL)経路を阻害し、宿主の細胞傷害性T細胞(CTL)の抗腫瘍免疫を回復させる治療が肝細胞癌にも適応となったが、申請者は癌を認めないNAFLD患者の末梢血由来単球がCTLの抗腫瘍免疫を抑制するPDーLを発現している事を発見した。つまり、これらの単球はNAFLD患者における肝細胞癌発生に対する抗腫瘍免疫を抑制している可能性があると考えられる。 PD-Lを発現する単球を持つ患者は、NAFLDが進展しNASHから肝硬変に至るも肝障害のない、いわゆる「Burn-out NASH」といわれる状態のstage 4の患者がほとんどである事が判明した。健常人であっても、様々な理由によるDNA損傷が原因となり一定の確率で癌細胞が発生するが、健常人であればそれらの異常な細胞はCTLの持つ抗腫瘍免疫により除去される。しかし、PD-Lを発現した単球を持つこれらのstage 4の患者では、その単球がCTLの抗腫瘍免疫を抑制してしまい、結果的にそれらの患者におけるNASHが原因となる肝細胞癌発生を助長してしまう。現に、PD-L1+PD-L2+単球を同じ患者由来のCTLと共培養した後に、CTLのみ回収しその細胞の肝癌細胞株に対する腫瘍傷害性を測定したところ、明らかに腫瘍傷害性は抑制された。現在は、PDーLを発現している単球の肝細胞癌発生に対する関与を調べ、更にこの単球を対象とした抗PDー1抗体による治療を行う事により、NAFLD患者における肝細胞癌発生の抑制を目的とする事ができるのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナのため、NAFLD由来の肝細胞癌患者からの検体採取が予定よりもかなり遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナが5類に変化したことにより、肝細胞癌患者治療が増える事が予想され、積極的に研究を行う方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナで患者からのサンプル取得が遅れ、研究全体が進まなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、この残額を患者からのサンプルの解析に使用する計画である。
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