研究課題
歯周炎は最も罹患率の高い感染症であり、軽微な慢性炎症が持続することで動脈硬化等の全身疾患に関与するが、歯周炎と心房細動の関連は明らかにされていなかった。本研究で我々は心房細動の発症および、持続化の基質となる心房組織の線維化に着目し、以下の点を明らかにした。1) 歯周炎における活動性炎症の定量化指標である歯周炎症面積(Periodontal inflamed surface area: PISA)と心房組織の線維化割合は正に相関する 2)持続性心房細動症例では発作性心房細動症例と比してPISAが高値である。これらの内容は査読付き国際英文誌に掲載された(Miyauchi S, et al. JACC Clin Electrophysiol. 2023;9(1):43-53)。また、心房組織から主要な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Fusobacterium nucleatum、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Treponema denticolaのDNAを検出した(論文投稿準備中)。本研究では歯周炎と心房線維化との因果関係は未解明であり、その両者の繋ぐ機序を今後解明する必要がある。現在、肥満、運動不足、睡眠呼吸障害、糖尿病、高血圧、脂質異常、喫煙、飲酒、カフェイン摂取は心房細動の修正可能な危険因子とされ、家庭医、睡眠専門医、運動療法士、臨床心理士、内分泌専門医、栄養士、薬剤師が参加する包括的な心房細動リスクマネジメントが推奨される。本研究成果は歯周炎が心房線維化、心房細動の修正可能な危険因子であることを明らかにするための基礎的エビデンスとなる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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