研究課題/領域番号 |
21K20930
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川口 頌平 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50907847)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | バソプレシン / アデノ随伴ウイルス |
研究実績の概要 |
バソプレシン(AVP)は抗利尿ホルモンとしてだけでなく、概日リズムや社会性、不安、認知、記憶、行動など様々な影響を与えていることが分かっているが、その神経核ごとの投射については明らかにされていない。本研究ではAVPニューロン特異的にCreを発現するAVP-CreマウスにCre依存性に蛍光タンパクを発現するアデノ随伴ウイルスを注入することで、神経核特異的にAVPニューロンを標識し、それぞれの神経核に存在するAVPニューロンごとにその投射先を明らかにすることを目的としている。 本年度はAVPニューロン特異的にVenusタンパクを発現するAVP-Venusマウスを用いることで、AVPニューロンの細胞体が存在する神経核の確認を行い、嗅球、ブローカーの対角帯核、外側中隔核、分界条床核、室傍核、視索上核、正中隆起、内側結節核、偏桃体内側核、中脳水道周囲灰白質、脳室周囲にVenus発現を認めた。さらにAVP-Creマウスに投与するにあたって、Cre依存性に蛍光タンパクを発現する適切なアデノ随伴ウイルスの検証を行い、本研究に適切なアデノ随伴ウイルスを見出した。今後はAVP-Venusマウスを用いて見出した神経核に、検証したアデノ随伴ウイルスを投与することで、各神経核におけるAVPニューロンの投射先を明らかにする。また核神経核におけるAVPニューロンの性質をより評価するために、それぞれのニューロンがグルタミン酸作動性、GABA作動性、コリン作動性のいずれに属するのかを評価することも検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はAVPニューロンの細胞体が存在する神経核の確認とAVP-Creマウスに投与した際に検証可能なアデノ随伴ウイルスの確認を主目的としていた。前述の両者をともに見出すことができており、主目的は達成しているものと考える。以上から、おおむね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は特定した神経核とアデノ随伴ウイルスを用いて、神経核毎のAVPニューロンの投射先の確認を行う。さらにはRNAscopeを用いて、それぞれの神経核におけるAVPニューロンがグルタミン作動性、GABA作動性、コリン作動性なのかを評価することによって、より詳細に各神経核におけるAVPニューロンの機能を解析することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していたよりも多くのアデノ随伴ウイルスを試行錯誤することなく、実験が遂行できたため次年度使用額が生じた。今後は各神経核のAVPニューロンの特性を把握するためにRNAscopeのprobeや試薬、また免疫染色に必要な試薬、抗体への使用を検討している。
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