血球貧食症候群は、骨髄などの網内系組織において炎症性サイトカインにより活性化されたマクロファージが増殖、自己の血球を貧食し、血球減少を引き起こす致命的な疾患である。背景にある炎症性サイトカインの過剰産生をターゲットとした強力な免疫抑制療法に加えて、化学療法もしばしば併用されるが、血球貪食の実態については不明な点が多い。 最初に研究課題として、疾患特異的マクロファージによる血球貪食機構が、どのようなメカニズムによって起きているか解明することを挙げた。特に、生きた細胞を貪食するとされる現象を評価し、血球のアポトーシス非依存性であることを証明することを研究の主たる目的とした。この解析には時空間的解析が必要と考え、最初に肝臓・脾臓・骨髄などの網内系マクロファージをイントラバイタルイメージングで観察した。 初年度は、薬剤によりアポトーシスを誘導した血球を養子移植する系を確立し、この系を用いて、肝臓内のマクロファージが血球細胞を貪食する様子をイントラバイタルイメージングを用いて撮影することに成功した。引き続き、疾患モデルマウスを利用し、疾患特異的マクロファージが血球を貪食する様子を観察し、貪食される血球のアポトーシスするタイミングを詳細に観察し、疾患モデルマウスで貪食される血球の貪食される瞬間の生死の状態を評価し得た。 最終年度は、疾患特異的な血球貪食マクロファージをフローサイトメトリーにより単離を行った。マクロファージマーカーと被貪食細胞の蛍光蛋白のdouble positiveで検出されるこの細胞は、非機能的doubletとの区別が難しく、正確に目的の細胞を単離する作業に注力した。今後、単離した細胞のトランスクリプトーム解析を行うことで、疾患特異的な血球貪食マクロファージの貪食機構と、疾患における役割について解析を続ける。
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