研究課題/領域番号 |
21K20935
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
深水 大天 熊本大学, 病院, 医員 (00908006)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | ANGPTL3 / 脂質異常症 / ペプチドワクチン |
研究実績の概要 |
申請者は2018年からアンジオポエチン様因子3(ANGPTL3)を標的とした本ペプチドワクチンの開発に着手し、脂質異常症に対する改善効果を有するペプチド配列 (E3)を特定した(特願2021-084971) (Fukami et al. Cell Reports Medicine. 2021)。本ワクチン接種により、細胞障害性自己免疫が誘導されないこと、ANGPTL3の主な発現臓器である肝臓においても組織傷害を認めないことを確認し、本ワクチンの安全性が示された。また、ob/obマウスだけでなく野生型マウスや自然発生ApoE欠損マウスにおいても、本ANGPTL3ワクチンがマウス系統を超えて脂質異常症を改善する結果が得られていることから、脂質異常症治療ワクチンとしての臨床応用可能性がより確かなものとなってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アンジオポエチン様因子3(ANGPTL3)を標的とした新規脂質異常症治療ワクチンを開発した。本研究によって見出された知見はCell Press発行のCell Reports Medicineに掲載され、同誌の「Editor's choice- 2021」にも選出された。また、本申請研究に関連する特許出願も完了しており(特願2021-084971)、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本ワクチンの効果持続性を評価するため、野生型のC57BL/6Jマウスに対して2週おきに3回ワクチン接種を行い、接種ペプチドに対する抗体価と血清の脂質プロファイルを経時的に測定している。初回接種から半年間は、抗体価や血清中性脂肪低下作用は維持されていた。さらに半年後(初回接種から1年後)のワクチン効果の持続性と、その時点で追加接種を1回行い、ブースター効果が得られるか検証する予定である。また、ワクチンの安全性の評価を複数のマウス系統において評価する。 本研究で得られた知見については、国立研究開発法人科学技術振興機構支援のもとでPCT国際出願の準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した試薬がメーカーの割引対象となるケースがあり、結果として157円の未使用額が生じた。未使用額は翌年度の物品購入費に充当する。
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