癌の浸潤・転移には、エクソソームと呼ばれる細胞外小胞が関わる細胞間情報伝達機構が重要な役割を果たしていることが分かってきた。近年抗PD-1抗体製剤が、上咽頭癌を含む頭頸部癌において承認されたが、その奏効率は期待を下回っている。他の癌種において薬剤耐性機構へのエクソソームへの関与が報告されており、上咽頭においても同様に、その薬剤耐性機構に、エクソソームが関与していることが予想される。本研究によって、上咽頭癌におけるエクソソームへのタンパク分泌機構の解明につながった。抗PD-1抗体製剤耐性の機序の解明ならびにその回避を通じた臨床応用・新規創薬につながる社会的意義のある研究である。
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