研究課題
本研究課題は大きく分けて3つの実験で成り立つ。その一つである In vivoでダントロレンの心肥大抑止作用を確認する研究は終了した。詳細を以下に示す。マウスにイソフルラン1.5%を吸入させ、麻酔、人工呼吸下に大動脈を露出し、大動脈結紮(TAC)を行う。結紮部位には24G針を挟み、結紮後に針を抜くことで狭窄を作り出す。その後、4週間飼育することにより心臓に圧負荷が起こることによって、心肥大モデルマウスを作成することができる(コントロール群)。その他に、ダントロレンを前投与するモデル(ダントロレン群)を用意し、それぞれTAC前後に心エコー検査を行い、心機能を比較した。最終的に、取り出した心筋の重量、形態を比較し、組織学的に調査した結果、コントロール群に比較して、ダントロレン投与群では、TACによる心筋肥大が抑制されていることが明らかになった。残り、現在はIn vitroでダントロレンの細胞内カルシウム制御機構を確認する実験を行っている。詳細を以下に示す。各モデルマウスの心臓から心筋細胞を抽出し、ダントロレンによるリアノジン受容体を介した細胞内カルシウム濃度の調節機能について、細胞内のカルシウムシグナル強度を蛍光顕微鏡で経時的に測定した。他の細胞内カルシウム流入経路に対する阻害薬[2-アミノエトキシジフェニルホウ酸塩 (2-APB)など]を使用し、リアノジン受容体が関係するカルシウム制御機能のみを現在は観察している。その結果ダントロレンによってカルシウムの制御が起こっていることがわかってきた。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題は大きく分けて3つの実験で成り立つ。その一つである In vivoでダントロレンの心肥大抑止作用を確認する研究は終了した。残り、現在はIn vitroでダントロレンの細胞内カルシウム制御機構を確認する実験を行っている。
今後は、本研究課題の3つの実験のうち、3つ目である In vitroでダントロレンのミトコンドリア機能への影響を評価する予定である。これによって、麻酔科領域では悪性高熱症の治療薬として確立されたダントロレンの「ドラッグ・リポジショニング」の可能性を検討し、新しい治療法の確立、研究において、非常に有意義なものとなり得る。
新型コロナウイルスの感染拡大にて、学会参加ができなかったため、次年度使用額が生じた。(使用計画)翌年年度分として請求した助成金は令和4年度の学会参加費用に使用予定である。本年度の助成金は、物品費及びその他の費用(英文校正・論文投稿など)として使用予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Nutr Metab Cardiovasc Dis
巻: 31 ページ: 2979-2986
10.1016/j.numecd.2021.06.025.
Diabetol Metab Syndr
巻: 13 ページ: 39
10.1186/s13098-021-00755-z.