研究課題
<背景>近年、日本でも病的肥満症に対する腹腔鏡下スリーブ状胃切除術 (LSG)が保険適応となり、その効果が多数報告されている。この症例数の増加に伴い、内科的治療に抵抗性であった糖尿病患者に対しLSGを施行すると、術後早期よりインスリンが不要となる症例をしばしば経験する。しかし、術後早期での血糖上昇抑制効果に関する検討は未だ報告がなく、内科的治療では改善できなかった糖代謝異常やこれに関連する疾患に対する治療アプローチが一変する可能がある。本研究ではMetabolic surgeryにおける術後早期の血糖上昇抑制効果に関するメカニズムに関して検討を行うこととした。<方法>12週齢非肥満糖尿病ラットをSham (S群, n=3)、Duodenal-jejunal bypass (DJB (D群, n=3))に分け、DJB施行後24時間でsacrificeを行い、術前からsacrificeまで経時的に血糖を測定し、sacrifice時の血中インスリン・GLP-1を測定した。また、DJB術後24時間経過したラットでPET-CTを施行し、術後急性期における糖代謝の変化を検討した。<結果>D群術後24時間血糖は術前に比し有意に低下した。インスリン・GLP-1についてはShamと比べDJB術後24時間で有意に上昇した。PET-CTではsham群と比較してDJB群で上部小腸を中心に全小腸でFDG集積亢進を認めた。
2: おおむね順調に進展している
肥満糖尿病ラットを用いてBariatric surgeryによる糖尿病・血糖改善効果について、そのメカニズムを検討した。DJB術後に24時間血糖は術前に比し有意に低下した。インスリン・GLP-1についてはDJB術後24時間で有意に上昇した。小腸SGLT1、GLUT1 mRNA発現は上部小腸を中心に全体で発現が上昇していた。PET-CTではDJB群で上部小腸を中心に全小腸でFDG集積亢進を認めた。現時点でここまで解明しており、概ね順調と判断した。
これまでの研究でBariatric surgeryによる術後24時間と早期から血糖抑制効果を示した。これらをもとに、今後はBariatric surgeryを施行したモデルの血糖抑制効果について、肝臓等の他臓器標本を検索することで、そのメカニズム解明に努めていく予定である。
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