研究実績の概要 |
本研究ではMetabolic surgeryにおける術後早期の血糖上昇抑制効果に関するメカニズムに関して検討を行うこととした。 <方法>検討1:スリーブ状胃切除(SG)を施行した糖尿病合併肥満症例12例、腹腔鏡下スリーブバイパス症例(LSGB)1例の術前・術後インスリン投与量、DM寛解を検討。 検討2:GK ratをSham(S群, n=3)、DJB(D群, n=3)、DJB+迷走神経切離(DV群, n=3)に分け術後24時間でsacrifice。OGTT、PET-CT、小腸glucose transporter SGLT1・GLUT1mRNA・蛋白発現、迷走神経系中枢NTSにおける神経細胞活動c-Fos発現を検討。 <結果>検討1:SG術前のinsulin投与量は15.1単位であったがPOD1 2.2、POD3 1.0、POD7 1.1、退院時 0.2単位と減少。術後1年DM寛解CR58.3%。LSGBも同様の現象がみられ退院時insulinを離脱し術後3年CRを維持。 検討2:術後24時間D群血糖はS群に比し低下したが迷走神経を切離すると(DV群)、その効果はcancelされた。PET-CTではD群上部小腸を中心にFDGの集積が亢進。SGLT1・GLUT1mRNA・蛋白発現はS群に比しD群で高発現していたが迷走神経を切離すると(DV群)、cancelされた。3群NTSにおけるc-Fos発現はD群で高発現しておりS・DV群で低下。 【結語】metabolic surgeryは術後早期から血糖抑制効果を示した。そのメカニズムには小腸glucose transporter、迷走神経といった腸脳相関の関与が示唆された。このようにmetabolic surgeryのメカニズムを解明することは、新たな創薬・低侵襲治療の開発といった今後の肥満治療の展開に寄与すると思われる。
|