研究課題
(1) 手術患者の術直後のCD45(+)CD66b(+)低比重好中球(LDN)では、高比重好中球(HDN)と比べ、LDNは成熟マーカーのCD11b、CD16、CD66bの発現が低く、未成熟マーカーのCXCR2、CD62Lの発現は高く、より未成熟型のフェノタイプであった。また、PD-L1はHDNでは発現を認めなかったが、LDNでは有意な発現を認めた。培養後24時間後のアポトーシスの割合はLDNで有意に少なく、術後末梢血液中のLDNはNDNと比較しアポトーシスを起こしにくく、長期に生存する細胞集団であると考えられた。(2) 当科にて根治切除を施行した178例の大腸癌患者において、手術前後で末梢血を採取、CD66b(+)LDNの割合をflowcytometryで測定すると、術直後に採取した血液中のLDNは多くの症例で増加し、手術時間、出血量と弱い正相関を示した(r=0.23, 0.16)。また、術後LDNの割合は非再発症例と比べて再発例で有意に高値であった。cut off lineを4.9%と設定すると、術後LDN高値群は低値群に比べて有意に無再発生存率(DFS)が悪かった。(3) ステージ III の CRC 患者 62 人のうち、45 人の患者は術後補助化学療法としてカペシタビンまたはカペシタビン + オキサリプラチン (CapeOX) レジメンを 3 ~ 6 か月間受け、17 人の患者は補助治療を受けていなかった。このうち、術直後のLDG の比率が 4.9% を超える 25 人の患者において、補助療法を行うと無再発生存率が有意に延長することが確認できた(p<0.05)。 一方、LDGの割合が低い 37 人の患者では、2 人の患者のみが再発し、補助療法は転帰に有意な影響を与えなかった(p=0.405)。
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