研究課題
立案した研究実施計画に準じ,家兎膝骨軟骨欠損モデルに対して末梢血由来多血小板フィブリン(P-PRF)と骨髄由来多血小板フィブリン(BM-PRF)の骨軟骨効果について実験を遂行した.16週齢の家兎36羽を対照群,P-PRF群,BM-PRF群の3群に分けた(各群n=12).対照群では膝蓋骨溝に骨軟骨欠損(直径4 mm・深さ3 mm)を作製した.P-PRF群ではP-PRFを耳介中心動脈から採取した末梢血3 mlを遠心分離(1600 g,10分間)して作製し,欠損部に移植した.BM-PRF群はBM-PRFを腸骨(骨髄血3 ml)からP-PRFと同様の手順で作製し,欠損部に移植した.術後4週と12週時(各時点,各群n=6)に安楽死させ,骨軟骨修復状況についてマイクロCT解析,病理組織学評価を行った.マイクロCT解析の結果,術後12週時,BM-PRF群では軟骨下骨が他の2群よりも良好に再生されていた.組織学的評価(サフラニンO染色)の結果,BM-PRF群では骨軟骨欠損部は硝子様軟骨組織で修復されていたが,他の2群では線維様軟骨組織で修復されていた.また,術後4週の骨軟骨欠損部のTGF-β1発現について免疫組織化学を行った結果,BM-PRF群のTGF-β1染色陽性率は他2群よりも有意に高かった.これらの実験結果から,BM-PRFを骨軟骨欠損部に移植したことにより,欠損部ではTGF-β1が高発現し,骨軟骨修復が促進され,硝子様軟骨で修復したことを初めて明らかにした.したがって,BM-PRFは骨軟骨欠損治療に寄与できる可能性が示唆された.
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