研究課題/領域番号 |
21K20966
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤森 孝人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80546888)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 成人脊柱変形 / 構成概念妥当性 / 反応性 / 手術 / 疾患特異尺度 / 患者報告型アウトカム |
研究実績の概要 |
研究の目的は、成人脊柱変形症(ASD)を評価するための疾患特異的な尺度を開発することであった。ASDは、側弯症、後弯症、痛み、術後の運動範囲制限を組み合わせた複雑な状態で、効果的に評価する尺度がないことが臨床上の課題となっている。尺度において、最も重要なことは、その尺度が測定しようとしている構成概念を計測できることである。「測りたいものが測れているか」と言い換えることができる。 因子分析は、構成概念の探索や検証に用いる手法の一つで、尺度の作成においてよく使用される。「知能」や「健康」は構成概念の例で、直接観察したり、計測することはできない。しかし、構成概念に関連する複数の行動や事象によって、間接的に測定することができると考えられている。 本研究では、106名のASD患者(平均年齢68歳、女性89名)を対象に、ASD評価に役立つ29の質問を選び、患者に回答してもらいました。 因子分析の結果、主症状と副症状の2つの因子が認められた。主症状は、日常生活動作(ADL)、痛み、外観を評価する10の質問から構成された。副症状は、運動範囲制限によるADLを評価する5つの質問で構成された。それぞれのクロンバックのアルファ係数は0.90および0.84であった。主症状の変化と満足度の間のスピアマンの相関係数は0.48(p < 0.001)でした。主症状と副症状の術前と術後のスコアを比較した際のコーエンのdの効果量は、それぞれ1.09および0.65であった。 研究の結果、臨床実践で十分な反応性を持ち、ASD手術のメリットとデメリットを同時に評価できる、妥当性のある疾患特異的尺度が開発された。これにより、ASD患者の評価と治療において、より的確な判断が可能になり、研究の意義と重要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定の症例数は収集でき、解析も行った。結果は学術論文として現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
査読の結果を待って、追加の解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ処理費用の残金が生じ、今後の投稿における、校正費等に使用する予定である。
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