研究課題
健常者、及び尿路上皮癌患者の血中EV内には様々な細菌遺伝情報が含まれることが明らかとなった。我々が既に報告している尿路上皮癌患者の癌局所内免疫状態とマッチさせた尿路上皮癌患者の血中EV内のFirmicutes門発現は癌局所内免疫状態と有意な相関を認めた。つまり、CD4T細胞が高発現しているGroup 1でその発現が高く、CD8ならびに免疫細胞表面分子が高発現しているGroup 2ではその発現が低下していた(p=0.038)。そこで、血中EV内のFirmicutes門発現割合を高/低の2群に分類し癌局所内免疫状態との関係を評価したところ、Firmicutes門低発現群では腫瘍浸潤T細胞数の有意な上昇(p=0.015)ならびにCD4、CD8T細胞ともに、細胞上の活性化分子マーカーであるInducible co-stimulatory molecule (ICOS)の有意な上昇が認められた(CD4: p=0.002, CD8: p=0.016)。一方、血液中T細胞の発現様式との有意な関連は認めなかった。最後に、キイトルーダ使用症例を用いて治療効果を評価したところ、血中EV内のFirmicutes門低発現群ではSD以上の治療効果を認めた症例は約42%存在していたのに対して、高発現群ではSD以上の治療効果を認めた症例は存在しなかった(p=0.026)。無増悪生存(HR: 2.41, 95%CI: 1.07-5.42, p=0.034)、癌疾患特異生存(HR: 2.44, 95%CI: 1.07-5.57, p=0.035)、ともに有意に予後不良であった。
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Cancer Immunology, Immunotherapy
巻: 71 ページ: 2999~3011
10.1007/s00262-022-03213-5