研究課題/領域番号 |
21K20972
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
上田 瑛美 (田平瑛美) 九州大学, 医学研究院, 助教 (30911359)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 網膜バイオマーカー / 網膜神経節細胞 / 光干渉断層計 |
研究実績の概要 |
一般住民を対象として光干渉断層計(SS-OCT)で測定した網膜神経節細胞層/網膜神経線維層と認知症との関連について検討し、さらに脳画像データを用いてVBM解析を行い、網膜神経節細胞層/RNFLと関連のある脳萎縮パターンを検討した。久山町健診を受診したもののうち、脳画像未撮影者、網膜厚未測定者、脳画像image quality不良の者、網膜厚image quality不良の者、網膜疾患および緑内障を有する者、皮質下梗塞または小脳梗塞を有する者を解析対象者とした。結果は、日本人地域高齢住民においてSS-OCTで測定した網膜神経節細胞層の菲薄化は認知症と有意に関連した。また、脳画像データを用いたVBM解析では、網膜神経節細胞層の菲薄化は海馬、扁桃体、嗅内野、海馬傍回、舌状回、楔部、鳥距皮質、視床などの灰白質萎縮と有意に関連した。認知症者を除外した対象者でのVBM解析では網膜神経節細胞層菲薄化は海馬萎縮と有意な関連を示した。一方、網膜神経線維層は認知症および認知機能に関わる脳部位に有意な関連は認めなかった。本研究のVBM解析では視覚領域に限らず、認知機能に関わる領域の脳萎縮との関連を認めた。SS-OCTを用いた網膜神経節細胞層測定は非侵襲的で簡便で再現性に優れており、認知症のハイリスク群を同定し、認知症における神経変性の過程を評価するよい指標となるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、横断研究を用いて、網膜厚と認知症および脳萎縮との関連を解析を終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は追跡研究により網膜厚と認知症発症との関連について検討し、解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一斉健診が1年延期されたため、健診費用は次年度に使用予定である。
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