研究課題
一般住民を対象としてSS-OCTで測定した網膜神経節細胞-内網状層(GC-IPL)および網膜神経線維層(RNFL)と認知症との関連について検討し、さらに脳画像データを用いてVBM解析を行い、GC-IPL/RNFLと関連のある脳萎縮パターンを検討した。2017年高齢者調査を受けた65歳以上の高齢者2,202名が健診を受診し、そのうち最終解析対象者1,119名(男性465名、女性654名)とした。統計解析には、3次スプライン回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、一般線形モデルを用いた。調整因子には、性、年齢、低学歴、収縮期血圧、降圧薬の服用、糖尿病、血清総コレステロール値、BMI、画像上の脳血管障害、喫煙歴、飲酒歴、運動習慣、眼軸長を使用した。結果、日本人地域高齢住民においてSS-OCTで測定したGC-IPLの菲薄化は認知症と有意に関連した。また、脳画像データを用いたVBM解析では、GC-IPLの菲薄化は海馬、扁桃体、嗅内野、海馬傍回、舌状回、楔部、鳥距皮質、視床などの灰白質萎縮と有意に関連した。認知症者を除外した対象者でのVBM解析ではGC-IPL菲薄化は海馬萎縮と有意な関連を示した。一方、RNFLは認知症および認知機能に関わる脳部位に有意な関連は認めなかった。従って、SS-OCTを用いたGC-IPL測定は非侵襲的で簡便で再現性に優れており、認知症のハイリスク群を同定し、認知症における神経変性の過程を評価するよい指標となるかもしれない。以上の内容について論文執筆し、受理された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Ophthalmol Sci
巻: 2 ページ: -
10.1016/j.xops.2022.100157.