研究課題/領域番号 |
21K20978
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
庄司 真太郎 北里大学, 医学部, 助教 (60728202)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 局所硬化ゲル / BMP-2 / 多孔質材料 / 成長因子導入 |
研究実績の概要 |
外傷や腫瘍掻爬後の広範囲骨欠損は治療に難渋する。近年我々はヒアルロン酸(HA)に天然由来架橋基を導入することで、2剤混合後に硬化する局所硬化HAゲルを開発した。本研究では、新規HAゲル剤を用いてBMP-2を導入した多孔質人工骨をマウス難治性骨折モデルに投与し、その有用性を検討した。9週齢雄性C57BL/6Jマウスの大腿骨を骨幹部で骨切りし、逆行性髄内釘固定を行ったのち、骨折部周囲の骨膜を電気メスで焼灼することで難治性骨折モデルを作製した。BMP-2含有チラミン架橋ヒアルロン酸溶液にハイドロキシアパタイト(HAp)を浸漬後、過酸化水素水と混和し、ゲル化させることでBMP-2/HA/Hap複合体を作製した。骨折作製のみの群(control群)、骨折部にBMP-2を含まないHA/Hap複合体を投与した群(HA/HAp群)、BMP-2(2μg)含有PBSにHApを浸漬後、投与した群(HAp/BMP群)、骨折部にBMP-2/HA/Hap複合体を投与した群(BMP/HA/Hap群)の4群を作製した(各群n=10)。投与後28日で屠殺して右大腿骨を採取後、micro CTで撮影して骨折部における骨癒合率、骨量(BV)、骨塩量(BMC)を測定した。control群およびHA/HAp群では新生骨形成はほとんど認められなかった。BMP/HA/Hap群は10例中10例union、BMP/HAp群は10例中1例union、HA群は10例中2例unionだったが、control群は全例non unionだった。BMP/HA/Hap群は他の3群と比較してBVおよびBMCとも有意に高値だった(p<0.001)。局所硬化ゲルを用いてBMP-2を導入した人工骨はマウス難治性骨折モデルにおいて骨癒合治癒を促進した。本方法は新規骨形成促進法として有用かもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初期待してたとおり、局所硬化ゲルを用いて多孔質材料にBMP-2を導入することが可能であった。従って、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
多孔質材料にさらに細胞の導入を行い、骨形成効果を検討する。また、ゲル内での細胞活性を鑑みてヒアルロン酸局所硬化ゲルに加え、ゼラチン局所硬化ゲルを用いた検討も併せて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの蔓延により、実験計画(モデル作製)に遅れが生じた。次年度に使用する予定である。
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