研究課題/領域番号 |
21K20980
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
馬場 一彦 産業医科大学, 医学部, 修練指導医 (90910183)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | CRPS / 骨粗鬆症 / TRPV1 / TRPV4 / ノックアウトマウス |
研究実績の概要 |
令和3年度は、CRPSモデルマウスを作成し、疼痛逃避行動の観察および骨量測定を行った。野生型マウス(WT)、TRPV1ノックアウトマウス(Trpv1-/-)およびTRPV4ノックアウトマウス(Trpv4-/-)を用いて、右側坐骨神経部分結紮(pSNL)を行い、モデルを作成した。対照群は神経の露出のみを行う偽手術群(Sham)を設けた。処置前、処置後1週、2週、3週および4週に体重測定および痛覚閾値の評価(機械刺激および熱刺激)を行なった。処置前、処置後2週および4週にmicro CTを施行した。処置後4週のmicro CT施行後翌日に屠殺し、両側の大腿骨を摘出し、Dual-energy X-ray absorptiometry (DEXA)法およびmicro CTを施行し、骨密度を評価した。体重はいずれの系統のpSNL群およびSham群の間には有意差を認めず、Trpv4-/-群はWT群およびTrpv1-/-群と比較し体重が有意に高値であった。pSNLを行なった全てのマウスに処置後1週から4週まで機械刺激および熱刺激に対する痛覚閾値の有意な低下を認めた。DEXA法を用いて計測したWT、Trpv1-/-およびTrpv4-/-のいずれの系統におけるpSNL群の大腿骨骨密度は、Sham群と比較し有意に低下した。一方処置後2週および4週におけるmicro CTを用いて計測したpSNL群の大腿骨骨量、骨梁数および骨梁幅は、WTおよびTrpv1-/-においてはSham群と比較し、有意に低下したが、Trpv4-/-ではpSNL群とSham群の間に有意差を認めなかった。pSNL群の骨梁間隙はWTおよびTrpv1-/-においてはSham群と比較し有意に増加したが、Trpv4-/-ではpSNL群とSham群との間に有意差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TRPV1ノックアウトマウスの繁殖状況が悪く、実験にしようするマウスの確保に時間を要した。現在は、繁殖状況は改善しており、予定通り実験を行える状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、CRPS類似モデルを用いて骨形態計測、骨髄細胞培養実験およびWTに対するTRPV1拮抗薬ならびにTRPV4拮抗薬を用いた介入実験を行う予定としている。 本研究の成果は、日本生理学会、日本整形外科学会などの国内学会および国際学会に発表し、国際専門誌に英文論文として発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
TRPV1ノックアウトマウスの繁殖状況が芳しくなく、実験スケジュールに遅れが生じた。代替案として、TRPV1ノックアウトマウスに加え、TRPV4ノックアウトマウスを加えた実験計画に修正した。現在繁殖状況は改善しており、実験の進行には影響しない程度になっている。令和4年度は、令和3年度に行う予定であった、骨形態計測を行う予定であり、その実験費用として、令和3年度分を繰越しさせていただくこととした。
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