本研究は、以下の2つの項目に分けて研究をすすめた。 ①疾患モデルの確立 網膜へのレーザー凝固を行い、黄斑変性症を惹起したという報告があり、同様のモデルの使用を試みた(繊維化黄斑変性モデル)。既存の眼科用レーザー照射器でマウス眼底に6箇所の光凝固を施し、増殖性変化の惹起に成功した。現在はレーザーのpowerや凝固時間等の、条増殖性変化を促しやすい条件についてOCTおよび組織検査を行い、評価を行っている。また以前から作成していた重症網膜剥離モデルマウスについても、手術手技の再検討を行った(網膜剥離を惹起できる確率を上昇させるため)。結果としては、術前にマウスを2時間暗順応させることで容易に網膜剥離を惹起することができた。ストレプロゾシンを腹腔内投与して高血糖を惹起し、増殖性の糖尿病性網膜症を再現するモデル(増殖糖尿病網膜症モデル)も試みたが、増殖膜の増生には至らなかった。 ②ミュラー細胞/網膜色素上皮細胞を追跡可能な遺伝子改変マウスの作成 当初はDre/roxシステムを応用したミュラー細胞追跡マウスの作成を予定していたが、CreERT2を利用したマウスの作成へと計画を変更した。予定どおり目的遺伝子の挿入を確認しており、現在F2マウスまで繁殖をすすめている。最終的には、繊維化を制御するfloxマウスと交配させることを目的としているが、現在は追跡のためGRRマウスとの交配をすすめており、疾患モデルに応用していきたいと考えている。
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