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2021 年度 実施状況報告書

化学療法誘発性末梢神経障害に関するG蛋白質共役型受容体の下流シグナル伝達の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K20983
研究機関東京大学

研究代表者

土田 陸平  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30907796)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワードオートタキシン / ENPP2 / 遺伝子多型 / 神経障害性疼痛
研究実績の概要

神経障害性疼痛の代表的な疾患の一つである化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)に着目し、血液試料からDNAを抽出し、その遺伝子多型(一塩基多型)を調査することより神経障害前から高リスク群を同定し臨床的スクリーニングの重点化および神経障害性疼痛の病態解明を目的としている。これまで我々が注目していたリゾホスファチジン酸(LPA)のシグナル伝達機構から、LPAを生体内で産生する酵素であるオートタキシン(ENPP2)遺伝子に着目した。神経障害性疼痛の要素を持つ術後痛およびがん性疼痛を持っている患者を対象に血液データを集積し、患者の疼痛の程度や必要とした鎮痛薬量について調査し、ENPP2の遺伝子多型と疼痛との間に関連が見出せるか調べる方針とした。
疼痛の分類の中で、特に神経障害性疼痛の重症化因子として関連が指摘されているLPAは、その前駆体であるリゾリン脂質がENPP2によって加水分解されることで産生される。ENPP2は、主に脳、胎盤、卵巣、小腸で発現しているのが確認されているが、実は正常組織だけでなく、肝細胞癌や前立腺癌、神経芽細胞腫、非小細胞肺癌等の多くの癌腫においても発現することが報告されている。基礎研究では神経障害性疼痛の重症化とENPP2の関与は多数報告されているが、臨床研究からはその報告は現在のところ確認できない。
今回、術式により神経障害を伴う手術を受けた患者と、がん手術後疼痛を持つ患者から血液を採取し網羅的に遺伝子解析を行い、術後疼痛の強度や使用した鎮痛薬の量とENPP2の遺伝子多型との関連を解析し、ENPP2遺伝子上の一塩基多型がその重症度と関連していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

術式により神経障害を伴う手術を受けた患者と、がん手術後疼痛を持つ患者から血液を採取し網羅的に遺伝子解析を行い、術後疼痛の強度や使用した鎮痛薬の量とLPAの産生酵素であるENPP2の遺伝子多型との関連を調べた。
得られた遺伝子解析データと臨床症状を照らし合わせた結果、疼痛強度の重症化と関連している遺伝子多型が探索群と検証群いずれでも共通したものが4つの一塩基多型が抽出できた。特に検証群で、多重性考慮した場合でも有意差がついた2つの遺伝子多型が見つかった。神経障害による高リスク群の抽出を目的とした本研究は順調に進展していると評価できる。今後はこれらの結果を踏まえ、抽出した遺伝子多型がこれまで疼痛の重症化と関連している報告があるのか、また他疾患の発症などに関与しているのか、遺伝子の機能的な面で寄与するのか引き続き調査する。

今後の研究の推進方策

解析結果を踏まえ、抽出された遺伝子多型が、これまでに疼痛との関連の報告があるのか論文検索を行う。また、同定された遺伝子多型が遺伝子の機能的な面で寄与しているのかマップを用いて検索する。
以上の研究がまとまり次第、疼痛と遺伝子、がんに関連したジャーナルに論文投稿をする予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度に繰越になった333,002円と今年度の予算1,200,000円に対して、昨年度はコロナ禍の影響があり学会活動による旅費や参加費による消費がなかったため、当初の予定よりも少ない計上となったが、今年度は今研究に関連した学会活動および参加が可能であり、その他遺伝子の解析費用や物品費用と併せて当初の予定通りに予算を使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ENPP2の遺伝子多型は神経障害性疼痛の疼痛重症度と関連する2022

    • 著者名/発表者名
      土田陸平
    • 学会等名
      日本ペインクリニック学会第56回学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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