研究課題
脳海綿状血管奇形の原因遺伝子として、CCM1, CCM2, CCM3の3種がもともと知られていた。これに加え、PIK3CA変異、MAP3K3変異が新たな原因遺伝子変異として近年報告されており、未解明な病態が多く存在すると考えられる。本研究の目的は、患者由来異種移植による脳海綿状血管奇形モデルマウスを作製しこれを用いた病態解析を行うことで、複数の遺伝子異常が関与する複雑な病態を解明することである。脳海綿状血管奇形症例で手術により摘出された病変を研究対象とすることの倫理申請と、摘出された病変から得られた血管内皮細胞をマウスへ移植する実験を行うための動物実験の申請が必要のためこれらを進めた。しかし動物実験の申請が難航したため、海綿状血管奇形臨床検体の変異解析と遺伝子改変マウスを使用したモデル動物作製を並行して進めた。臨床検体の解析において、眼窩内海綿状血管奇形の新規関連遺伝子変異としてGJA4変異を同定した。アフリカツメガエル卵母細胞やヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた機能解析まで行い、同変異がGJA4ヘミチャネルの活性を亢進させる機能獲得型変異であることを明らかにした。これらの結果を論文として発表した。さらにモデル動物実験として同Gja4変異ノックインマウス作製を進めた。変異型Gja4を含むコンストラクトを作製してクローニングし、マウス受精卵に対するCRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集を行うことで作製した。今後個体化、繁殖し実験を進めることができる基盤を整えた。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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