研究課題/領域番号 |
21K20990
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
前田 光毅 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (20899843)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 超音波照射 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
研究実績の概要 |
前立腺癌細胞に対する超音波照射を行うことによって、免疫チェックポイント阻害剤に感受性をもつ腫瘍に変化するかを検討するため、in vitro/in vivoでマウス由来の前立腺癌細胞(TRAMP-C2)を用いて超音波照射を行い抗腫瘍効果の検討を行った。 in vitroでは癌細胞への超音波照射により、アポトーシス細胞の増加や増殖抑制効果を認めている。 in vivoでは超音波照射することでの治療効果・抗腫瘍効果の検討を行い、腫瘍増殖抑制効果をみとめている。また、照射部位の皮膚障害も認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験はマウス由来の前立腺癌細胞(TRAMP-C2)を用いて行った。in vitroでは、細胞増殖実験とフローサイトメトリーでのアポトーシス細胞評価を行った。細胞増殖実験では、コントロール群と比較し1Hz・10Hzで有意に抑制を認めた。フローサイトメトリーでは、コントロール群と比較して有意にアポトーシス細胞の増加を認めた。 in vivoでは、マウスにTRAMP-C2を皮下移植して腫瘍が十分に大きくなった後に、コントロール群、10Hz照射群、100Hz照射群を作成して治療効果を評価した。腫瘍体積は、コントロール群と比較して10Hz、100Hzで有意に腫瘍の増殖を抑制した。H-E染色では、コントロール群と比較して100Hzで腫瘍の壊死面積が有意に増加した。免疫染色では、アポトーシスマーカーであるCaspase-3と、免疫応答を司るT細胞であるCD3の評価を行い、100Hz単独群で有意に増加していた。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroでは、超音波照射による膜破壊について蛍光染色などを用いながら画像的な検討を進める。また、超音波照射による細胞内容物・エクソソームの解析について、共同研究者らによりPCR検査での評価方法が確立された。癌細胞への超音波照射によるエクソソームの放出についての解析を行う予定であり、免疫チェックポイント阻害剤併用による治療効果が期待できる更なる根拠が得られることが予想される。 in vivoで行った上記の実験では、予備実験や細胞実験で効果の優れていた1Hzを、皮膚障害の懸念から施行していない。そのため、今後の動物実験では1Hzでの治療効果を確認することで、最も治療効果の高い超音波繰り返し周波数の検討を行う。その後に、免疫チェックポイント阻害剤との併用効果を検討していくことで、より強力な併用治療効果を期待する。さらに、免疫チェックポイント阻害剤についても、今回用いたPD-1のみではなく、CTLA-4を併用することでの治療効果も検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会への参加も予定していたが、オンラインでの発表となり旅費などが発生しなかった。コロナウイルス染症の感染状況により、次年度に学会が現地開催となった場合に使用予定である。
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