研究課題
高強度超音波照射による抗腫瘍効果、ならびに免疫チェックポイント阻害剤との併用による抗腫瘍効果について検討を行ってきた。細胞実験では、ヒト前立腺癌細胞株・マウス前立腺癌細胞株を用いた。いずれの細胞株でも、超音波照射による細胞増殖抑制効果、アポトーシス細胞の増加を認めており、ネクローシスはあまり認めなかった。今回の検討では照射後3時間と比較的短時間での評価も行い、短時間でも超音波照射による抗腫瘍効果を認めている。また、LDHアッセイにより、細胞内容物が超音波照射による膜破壊により、細胞外に放出されていることが示唆された。動物実験では、前立腺癌細胞を皮下移植し、超音波照射を行って抗腫瘍効果の検討を行った。照射により腫瘍体積の増大を抑制できており、抗腫瘍効果を認めた。また、超音波照射を行ったのちに4週ほどの治療休止をはさんでも、コントロール群と比較して腫瘍体積の増殖を有意に抑えられることも確認できた。また皮下腫瘍に対して超音波プローベを直接当てて治療を行ったが、皮膚障害は1例も認めなかった。さらにヌードマウスを用いて超音波照射と免疫チェックポイント阻害剤の併用を行い、併用による抗腫瘍効果の増強を認めている。上記の結果より、高強度超音波照射による治療効果は、照射後短時間で発現し、細胞膜の一過性の破綻によりアポトーシス誘導されることが主なメカニズムだと示された。また動物実験では、治療後長期間抗腫瘍効果が持続することが示され、また、免疫チェックポイント阻害剤との併用により、治療効果の相乗効果も確認できた。
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The Prostate
巻: in-press ページ: -
Journal of Clinical Medicine
巻: 11 ページ: -
10.3390/jcm11092448