研究実績の概要 |
ドライアイは本邦で2,000万人以上が罹患する最も多い眼疾患であるが、点眼による対症療法が主体である。ドライアイを完治する方法は存在せず、人生の長期にわたり生活の質の低下を引き起こす。ドライアイの発症要因は、環境因子・生活習慣・遺伝・加齢・性別等、多因子かつ複合的であるため、包括的な個々人の情報と遺伝子情報の融合による横断的アプローチにより、表現型の多様性の理解や関連する生活習慣等の「見える化・層別化」がドライアイの病態理解と発症・重症化を未然に防ぐ予防医療や個別化医療に重要である。 本研究では、モバイルヘルスアプリから収集した個々人の包括的な情報と、東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)が既に持つ遺伝子情報を融合し、ドライアイの新しい表現型を統合解析することで、ドライアイの発症あるいは重症化に関わる遺伝子領域を同定する。本研究成果はゲノムバンクの利活用促進による将来のゲノム医療実現に向けた研究の推進に資する。 2021年度はドライアイ研究用アプリで収集する情報とゲノムバンクの遺伝子情報を統合するため、ToMMoコホート調査に使用するアドオンコホート用のQRコード読み取り機能を開発し、ドライアイ研究用アプリに実装した。アドオンコホートを実施し、1220名から参加者情報・病歴・点眼歴等の宿主因子、花粉飛散量・気温・温度等の環境因子、睡眠時間・デジタル作業時間・コンタクトレンズ装用等の生活習慣、最大開瞼時間、歩数等を収集した。 2022年度は、ドライアイ研究用アプリから収集されたデータを整備し、検索や抽出が可能なデータ基盤を構築した。
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