研究課題
本研究ではU1 snRNA変異型髄芽腫においてU1 snRNA変異による異常ポリアデニル化の同定と病態形成に及ぼす機序を解明することを目的として研究を行った。U1 snRNA変異型の細胞株はこれまで樹立されていないため、野生型および変異型U1 snRNA発現髄芽腫細胞株を作製し実験に使用した。DaoyおよびONS-76髄芽腫細胞株において変異型U1 snRNAの発現が確認され解析に使用した。RNAのポリアデニル化領域を濃縮するため3′-seqシークエンスライブラリー作成手法を構築した。初年度の検討によりMayr lab法によるポリアデニル化領域の濃縮では安定した結果が得られないと考えられたため3′ READS+法を次年度に行った。3′READS+従来法では、Oligo(dT)ビーズで選択したRNAを先に目的のサイズに断片化した上で、断片化RNAに対してアダプター配列を結合させ、最後に逆転写反応とPCRによりDNAライブラリーを作成する。RNAの断片化の際に使用する酵素が入手不可能となっているため、94度の加熱処理により断片化を行い、目的のサイズとなる条件を確立した。また、アダプター配列結合過程が煩雑で結合の成功率が低く、またシングルエンドシークエンスにしか対応していないことから、本法の鍵となるRNAの3′末端を濃縮したRNAフラグメントは従来法に準じて作成した上で、アダプター配列の結合は既存のRNAライブラリキット(NEBNext; Ultra II Directional RNA Library Prep Kit for Illumina)を用いて効率的に良好なライブラリを得ることに成功した。
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