研究課題/領域番号 |
21K21005
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
都野 隆博 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (40907383)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 歯肉上皮細胞 / TRPチャネル / レドックスバランス |
研究実績の概要 |
歯周組織の最外層に存在する歯肉上皮細胞は、歯周炎の発症・進行に対する生体防御として機能している。近年同定されたTransient Receptor Potential (TRP) イオンチャネルスーパーファミリーは上皮細胞を含む様々な細胞に発現し、温度や化学物質など様々な外来刺激で活性化される膜タンパクである。細胞内カルシウム情報伝達系を介して細胞増殖や分化、細胞死に関与することが知られており、歯肉上皮細胞に発現するTRPチャネルと歯周炎との関連が示唆される。細胞内における酸化-還元応答(レドックス)のバランスは宿主の恒常性維持に大きく関与し、その平衡破綻は様々な疾患の発症・進行に影響を与えることが知られる。歯周炎においても酸化ストレスの関与が示唆されているが、その詳細は不明である。近年、レドックスバランスの制御機構としてTRPチャネルを介したクロストークが報告されているが、歯周組織に発現するTRPチャネルとレドックスバランスの関連が歯周炎の病態形成へおよぼす影響は明らかではない。そこで本研究の目的は、歯肉上皮細胞のTRPチャネルタンパクを介したレドックス制御機構を明らかにし、TRPチャネルタンパクをターゲットとした新規歯周炎治療としての応用を目指すことである。 本年度は、TRPファミリーの一つであるTRPV1受容体に着目し、アゴニストであるカプサイシンによる抗酸化作用能をin vitroにて検討した。具体的には、ヒト歯肉上皮細胞株を各種濃度のカプサイシンにて前処置後、酸化剤であるTBHPにて刺激を行い、抗酸化作用に関連する遺伝子およびタンパクの発現変動を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は歯肉上皮細胞発現におけるTRPV1チャネルがレドックス制御機能を持つことを明らかにするために、ヒト歯肉上皮細胞株をTRPV1受容体のアゴニストであるカプサイシンにて前処置を行い、抗酸化作用に関連する遺伝子およびタンパクの発現変動をin vitroにて検討した。
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今後の研究の推進方策 |
これまではTRPファミリーの一つであり、歯肉上皮細胞への発現が確認されているTRPV1受容体に着目して検討を行ってきたが、次年度は他のTRPファミリーおよびアゴニストを用いたin vitroを検討し、歯肉上皮細胞発現のTRPチャネルを介した抗酸化作用を引き続き解析する。さらにその分子メカニズムを明らかにするために、カルシウムイオンイメージング法やカルシウム伝達系関連因子発現の解析を行い、細胞内カルシウム伝達系の関与を検討する。その後、抗酸化作用の得られたTRPアゴニストが実際に抗歯周炎効果を有するかを歯周炎モデルマウスを用いたin vivoにて検討する。
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