研究課題/領域番号 |
21K21010
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
豊田 理紗 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (90908708)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / 中高年世代 / ポリソムノグラフィー / 睡眠 |
研究実績の概要 |
本年度は、中高年被験者の睡眠データの解析を中心に研究を遂行した。二夜連続で記録したポリソムノグラフィ検査のうち、第一夜目は順応夜として用い、二夜目のデータを分析に使用した。睡眠変数の解析を行うとともに、咬筋イベントの解析を行った。咬筋イベントは、咬筋筋電図、ビデオ映像、記録音声より、睡眠時ブラキシズム(Sleep bruxism: SB)の生理学的特徴であるリズム性咀嚼筋活動(Rhythmic masticatory muscle activity: RMMA)とリズムを示さない咬筋活動(Non-specific masseter muscle activity: NSMA)を判定し、発生頻度を算出した(RMMA index、 NSMA index)。 RMMA index を基に、健常群、SB軽症群、SB重症群に群分けし、睡眠構築、覚醒反応発生頻度、咬筋イベントについて、3群間での比較検討を行った。今後、咬筋筋電図、脳波データのアーチファクトを視覚的に判定したのちに、定量解析を行う予定である。 また、本研究では、健康であると申告した者を研究対象としていたにもかかわらず、睡眠中の無呼吸・低呼吸の発生頻度が高い被験者が複数人含まれていた。そのことから、本人の自覚がなく、確定診断のされていない睡眠時無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea: OSA)患者が多数存在している可能性が示唆された。さらに、OSAの診断基準である無呼吸低呼吸指数が高い被験者では、RMMA indexではなく、NSMA indexが高くなる可能性が示唆された。そのため、中高年世代のSBとOSAの関連を明らかにするための検討についても並行して行っている。今後、これらのSBとOSAの関連の結果を含めた上で、論文化を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
中高年世代では覚醒反応が多く、それに伴い発生するアーチファクトが多くなる傾向にある。そのため、アーチファクトの混入の判定を慎重に行う必要がある。視覚的にアーチファクトの混入を判定することに時間がかかっており、解析が遅れいている。
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今後の研究の推進方策 |
咬筋筋電図、脳波データのアーチファクトを視覚的に判定後に、咬筋活動は、一秒ごとの常用対数積分値を算出し、ガウス混合モデルクラスター解析を行い、咬筋トーヌスの平均値、分散を算出する。また、脳活動は、高速フーリエ変換を用いて脳波のパワーを算出する。上記の定量解析の結果を3群間で比較する予定である。これらの結果について、学会発表と論文作成を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存データの詳細を解析したところ、被験者の自覚では判別できなかった、未確定診断の閉塞性睡眠時無呼吸が比較的多数存在しており、それらのデータの詳細やアーチファクトのチェックなどを行ったため、新規の睡眠検査の実施が難しくなった。次年度では、睡眠検査を行うとともに、計画しているように定性的なデータ解析及び、定量的なデータ解析を実施する予定としており、成果報告のための費用、論文投稿における費用を研究期間内で使用する予定である。
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