研究課題
先行研究の結果をふまえ1 GMSCにおけるエクソソーム分泌促進機構の解明2 TNF-α誘導性エクソソーム内包miR-1260bによる骨吸収抑制効果 の、2つに焦点をあてて立案した。 GMSCへのTNF-α刺激によるエクソソーム分泌機構の検証は、学術的独自性のみならず、その効果的な活性化シグナル経路の解明によりMSC由 来エクソソーム治療全般への応用効果が期待できる。 また申請者は既に、歯根膜細胞へのmiR-1260b導入によるRANKL発現抑制を確認しているが、miRNAの標的遺伝子DataBase検索でもmiR-1260bが多 数の破骨細胞形成関連遺伝子を標的とする結果を得ている。そのため、miR-1260b単独での骨吸収抑制効果を検証することで、歯周炎のみなら ず骨粗鬆症やリウマチなど炎症性骨破壊疾患への新規核酸製剤の標的としての可能性を有するため、学術的な革新的波及効果が見込まれる。先行研究の結果を踏まえ、以下2点について検証を行った。①歯肉幹細胞へのTNF-α刺激により確認されたエクソソーム分泌促進機構の解明②TNF-α誘導性エクソソーム内包miR-1260bによる骨吸収抑制効果。エクソソーム分泌促進機構の解明は、間葉系幹細胞 ( MSC )由来エクソソームによる治療効果の改善への応用が期待される。一方、骨吸収抑制 効果が予想されるmiR-1260b単独での検証は骨粗鬆症への新規核酸製剤の標的としての可能性を有する。これらの検証は、新規歯周病治療の開 発や、 MSC由来エクソソームによる全身疾患や再生療法への応用における基盤構築としての学術的な波及効果が期待される。
2: おおむね順調に進展している
先行研究から、TNF -α刺激による歯肉幹細胞からのエクソソーム分泌促進が示唆されていたが、その機序として関連が予想された遺伝子が、今回重要な役割を果たしていることが示唆された。今後も継続して機序の解明を行う。
本研究では、 GMSC 由来エクソソームの分泌活性化機構および、TNF-α誘導性エクソソームmiRNAとして同定されたmiR-1260b単独での骨吸収抑 制効果を検証する。以下の2つの計画を立案した。1GMSCにおけるエクソソーム分泌促進機構の検証。申請者は既に予備実験を行い、GMSCへの TNF-α刺激時にエクソソーム分泌への関与が報告されているRab family蛋白群の発現亢進を確認している(未発表データ)。これらの遺伝子を ノックダウンしてエクソソーム分泌量を測定することで、GMSCのエクソソーム分泌に重要な蛋白の候補の検証を行う。同時に骨髄、脂肪由来MS Cなどとそれらの発現を比較することで、GMSCのエクソソーム分泌能の特性が評価可能となる。また、上手くいかないときはマイクロアレイ解 析でGMSCへのTNF-α刺激群(エクソソーム分泌促進)およびエクソソーム分泌阻害剤(GW4869)処理群と比較し、TNF-αによるエクソソーム分 泌制御分子の同定を試みる。2TNF-α誘導性エクソソーム内包miR-1260bによる骨吸収抑制効果の検証。TNF-α刺激GMSC由来エクソソームによ る歯槽骨吸収の中心活性を担っているとみられるmiR-1260b単独での歯槽骨吸収抑制効果について、マウス歯周炎モデルへの局所投与で検証す る。より詳細な硬組織評価のため、マイクロCTによる3次元的評価を行うと同時に、in vitroにおいてもヒト末梢血単球からの破骨細胞分化に 及ぼす影響について、TRAP染色で検証する。 以上の検証で有効性が確認された場合、マウスに卵巣摘出手術を行った骨粗鬆症モデルに尾静脈から歯肉幹細胞由来エクソソームを移植し、経 時的にマイクロC T撮影を行い海綿骨の三次元構造と骨密度を評価する。
学会の参加料金に使用する予定だったが、使用しなかったため
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