研究課題/領域番号 |
21K21025
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
島村 直宏 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40908125)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 歯髄 / 間葉系幹細胞 / PC12 / 再生医療 / 神経細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歯髄由来の間葉系幹細胞(Dental Pulp Mesenchymal Stem Cell; DP-MSC)から神経細胞への分化を誘導し、より短期間で、より効果的な神経損傷の再生医療を確立することである。また、本研究の学問的意義は、歯科と医科の枠を超える新規性にあり、DP-MSCを利用したテーラーメイド再生医療の実用化へ向けた基礎データの収集である。 研究計画の第一段階として、まず所属機関での研究倫理申請を行い、承認を得た。次に神経細胞への分化・誘導方法の検証を行った。DP-MSCはヒト由来の細胞であり、有限であり制限も多いため、先にラット褐色細胞腫由来のPC12細胞を用いて検証を行った。 PC12細胞を用いた検証では、通常培養での細胞増殖率をPrestoBlue法を用いて測定し、細胞数や培地などの条件を変えた場合の細胞増殖率を同様に測定し、比較することで至適細胞増殖環境の検討を行った。次にNGFを用いた神経細胞への分化・誘導を行った、これは過去に報告されている方法と同様で、その再現性を確認した。 そして、これまでに報告のない研究として、DP-MSC培地、NGF、KSR、LPS、DP-MSC培養上清などの条件を組み合わせて培養し、PrestoBlueに加えて、細胞の形態変化の確認・神経細胞突起の測定、Protein assay、Acetylcholine esterase assay、免疫組織染色を行い、その結果を比較し至適細胞培養条件を検討した。これらは将来的に想定しているヒト神経損傷の治療を想定した条件検討も兼ねている。 また、DP-MSC培養上清を組み合わせた条件でも、神経誘導の優位性を確認しているところであり、今後行う予定のDP-MSC自体からの分化・誘導にも期待ができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PC12細胞を用いて至適細胞培養条件の検討を行い、分化・誘導させた神経細胞様の細胞が、真に神経細胞としての機能を有しているかを検証している段階である。 また、今後予定しているDP-MSC自体からの分化・誘導、将来的に想定しているヒト神経損傷の治療の条件検討も兼ねているため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに収集したPC12細胞を用いた神経細胞への分化・誘導実験データの比較検討を行い、新規性のある論文報告を予定している。 引き続き、PC12細胞を用いた実験は継続し、細胞培養時にインサートを使用することで、PC12細胞と他細胞を共培養する実験も始めている。これは単に薬品を加えるだけではなく、生細胞から放出される液性因子の反応を確認できると期待している。 そして、DP-MSC自体からの分化・誘導実験も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、申請・承認を得られるまでの待機時間があったことや、PC12細胞の培養は、DP-MSCの培養と比較すると、安価な培地で行えたため。よって、研究計画書段階で予定していた使用金額を下回った。そもそも、科研費交付決定からの実験可能期間も、令和3年度は令和4年度よりも短いことも影響したと考えられる。 しかし、現在、研究計画書段階で予定していた以上の条件検討を行っているため、令和3年度と令和4年度で研究に必要な総額に変わりない。
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