実験の結果、直接的に神経再生を確立するものは得られなかった。しかしながら、乾燥環境と紫外線の組み合わせによる、細胞内酸化ストレス、細胞死、DNA二重鎖切断、炎症反応に対する、酵素消化食用ツバメの巣(EBND)の細胞保護効果を示した。ヒトHaCaTケラチノサイトを三次元上皮培養し、EBNDの投与の有無による違いを検証した。結論として、EBNDはその抗酸化能力によって、乾燥環境と紫外線による有害な影響、およびヒトHaCaTケラチノサイトの三次元上皮における炎症反応を部分的に減少させる可能性があった。これらの結果は神経細胞をも保護する可能性があり、今後の神経損傷に対する治療へも期待ができる。 また、同時並行で行われた実験の結果では、低コストでプラスチック廃棄物を削減できる、環境に優しい細胞培養インサートの開発に成功した。自作インサートまたは数種類の市販インサートを用いて、THP-1マクロファージとOP9脂肪細胞の共培養における相互作用を検証した。結論として、自作インサートは共培養されたマクロファージと脂肪細胞からのサイトカインを自由に拡散させ、細胞間相互作用に好ましいin vivo様の微小環境を提供することが示された。つまり、膜の種類と膜の細孔サイズが共培養細胞間のクロストークに非常に強い影響を与えることを示した。これらの結果は三次元神経細胞の培養でも十分考慮するべきであり、今後の臨床応用へ向けた三次元神経細胞培養の成功へも期待ができる。
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