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2022 年度 実施状況報告書

カーボンナノホーン修飾チタン上における骨形成とリモデリング機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K21029
研究機関北海道大学

研究代表者

木村 貞仁  北海道大学, 大学病院, 医員 (60910635)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2024-03-31
キーワードカーボンナノホーン / M1マクロファージ / M2マクロファージ / 分極化 / 組織リモデリング
研究実績の概要

これまでに,カーボンナノホーン(CNHs)を表面修飾したTi(CNH/Ti)上でマクロファージを培養し,マイクロアレイによる遺伝子解析,ELISAによるサイトカインの発現分析,レーザー共焦点顕微鏡を用いた免疫細胞学的観察を行ってきた.それに加えて当該年度においてはqRT-PCRによるサイトカインの測定を行い,マイクロアレイ解析を行った.
その結果,M1マクロファージが分泌する骨形成の阻害因子である炎症性サイトカインTNFαとIL6が有意に低く,M2表現型のIL10については,CNH/Tiの方が有意に高かった.CNHsがマクロファージの組織再生に関与するM2マクロファージへの分極を誘導する可能性をより強く示唆した.
また,CNHs/Tiのin vivoでのマクロファージの分極ならびに骨リモデリングの解析のために,BALB/cAマウス(6週齢)の頭蓋骨に直径4mmの骨欠損を形成しCNH/Tiで被覆した.7日後にて周囲組織とともに摘出し,脱灰パラフィン標本を作成した.
まずHE染色にて周囲組織に炎症性細胞の発現を確認した.次に免疫組織化学染色を施し,マクロファージの発現を確認した.その上でM1マーカーであるCD86とM2マーカーであるCD206で蛍光免疫染色を行った.in vivoにおいてもCNH/Ti周囲のマクロファージのM2の蛍光強度は,Ti周囲と比較して高い傾向を示した.
以上の結果を第12回ナノカーボンバイオシンポジウムと第131回日本補綴歯科学会学術大会にて発表した.第131回日本補綴歯科学会学術大会においては最優秀ポスター賞を受賞した。
今後はこれらのin vivoにおける蛍光強度を定量化し分析していく予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①in vitroにおいて,qRT-PCRによるサイトカインの測定でも,CNHsがマクロファージの組織再生に関与するM2マクロファージへの分極を誘導する可能性を示唆した.
②in vivoにおいてもCNH/Ti周囲のマクロファージのM2の蛍光強度は,Ti周囲と比較して高い傾向を示した.
③以上の結果を,第12回ナノカーボンバイオシンポジウムと第131回日本補綴歯科学会学術大会にて発表した.第131回日本補綴歯科学会学術大会では最優秀ポスター賞を受賞した.

今後の研究の推進方策

CNHs/Tiのin vivoでのマクロファージの分極ならびに骨リモデリングの解析をするために,引き続き組織学的,免疫組織学的に解析する.蛍光免疫染色による蛍光強度を定量化し分析する.
さらに,CNHsが骨形成メカニズムとリモデリングに与える影響を解明するためにCNHs/Tiで骨芽細胞および骨髄間質細胞を播種し,共培養を行う.骨髄間質細胞は骨芽細胞との共培養によって破骨細胞へ分化し,骨芽細胞は破骨細胞分化因子であるNF-κBリガンドの受容体活性化因子(RANKL)を発現する.CNHsの骨芽細胞および破骨細胞への影響をタンパクレベル,遺伝子レベルにて分析する.同時に付与したナノ構造が両細胞の増殖や分化に与える影響も検索する予定である.

次年度使用額が生じた理由

北海道大学における新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動指針(BCP)がレベル2となり,一部の研究施設の利用と道外渡航に制限がかかってしまった時期があった.さらに,新型コロナウイルス感染症の影響により,試薬や資材の入手がしばしば滞った.
次年度の使用計画としては,当該年度において諸般の事情から実施できなかった実験を行う予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] カーボンナノホーン修飾チタンにおけるマクロファージの極性変化2022

    • 著者名/発表者名
      木村貞仁,平田恵理,髙野勇太,前田由佳利,坂入正敏,湯田坂雅子,横山敦郎
    • 学会等名
      第12回ナノカーボンバイオシンポジウム
  • [学会発表] カーボンナノホーン修飾チタン上のマクロファージの挙動と分極2022

    • 著者名/発表者名
      木村貞仁、平田恵理、 前田由佳利、横山敦郎
    • 学会等名
      第131回日本補綴歯科学会学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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