研究実績の概要 |
リン酸オクタカルシウム(Octacalcium phosphate,以下 OCP)はハイドロキシアパタイトの前駆体であり、コラーゲン(Collagen, 以下 Col)と複合化することで優れた骨再性能を示す。鉄結合糖タンパク質であるラクトフェリン(以下LF)は、in vitroにおいて、用量依存的に骨芽細胞の増殖と分化を促進し、破骨細胞の形成を阻害することが知られている。本研究ではラット頭蓋冠における骨欠損部にOCP/Col複合体を埋入し、LFの局所投与または全身投与が骨再生に及ぼす影響を評価することを目的とする。 Wistarラット(12週齢、オス)を使用する。実験動物に全身麻酔を行った後、頭頂部皮膚・ 骨膜を切開し、頭蓋冠を明示する。直径9mmのトレフィンバーを用いて円形の骨欠損を形 成し、OCP/Colを埋入する(下図参照)。実験動物はランダムに以下の3群に分かれる。 ①OCP/Col-LF 局所投与群, ②OCP/Col-LF 全身投与群, ③コントロール群(OCP/Col 単独使用、LF投与無し). OCP/Col-LF 局所投与群においては、OCP/Col をラクトフェリン(100μg/ ml) に1時間浸漬させたものを用いる。OCP/Col-LF 全身投与群においては手術後よりLF 溶液 100mg/ kg(body weight)/dayを4週間腹腔内投与する。各群のラット数は8匹とし、OCP/Colは直径9mm, 厚さ1mmのDisk状に成型したものを使用する。手術から12週後、試料を回収し放射線学的、組織学的に評価する。
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