研究課題/領域番号 |
21K21031
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳沢 佑太 東北大学, 大学病院, 医員 (40899738)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 骨形成 / マグネシウム / 骨代謝 / 生分解性デバイス開発 / インプラント / 包括的遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
生体内におけるマグネシウム元素と骨形成の関係性を調査することを目的として、ラットを用いた実験を計画し、包括的遺伝子解析を用いて骨形成関連遺伝子を検索することとした。この実験を行う前に、まずはマグネシウム金属片の生体内での分解挙動を把握する必要があったため、ウサギ頭骨内にマグネシウム金属片を埋入し、分解挙動を観察した。ウサギ頭骨に埋入されたマグネシウム金属片は埋入初期(1か月以内)に急速な分解をきたし、骨形成に負の影響を与える可能性があることが判明した。しかし分解中期から後期(1か月以降)では分解過程で金属片表面に炭酸化合物やリン酸化合物による腐食性被膜を形成することが判明した。この腐食性被膜はマグネシウムの分解を抑制する効果があり、将来的にマグネシウムデバイスを設計するうえで有用な所見であった。 また予備実験の結果はマグネシウムの分解速度の調整や遺伝子解析を行う検体採取のタイミングを決定するうえで重要な知見であると考えられた。生体内で急速な分解が生じた場合、骨代謝は吸収傾向となる可能性が考えられるため、遺伝子解析に用いる検体は術後1-2週程度の早期に採取する必要があると考えられた。 上記の予備実験の結果は論文として現在投稿中である。 今年度は予定していたラットの遺伝子解析研究を行う予定である。既に動物倫理申請は許諾済みであるため、5月から実験開始にむけて材料の購入やスケジュール調整を進めている。動物実験が始まった場合、本実験は早期に試料採取と解析を行う必要があるためため、データ収集までの進捗は早いと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していなかった予備実験と論文作成にエフォートを割いたため時間がかかった。 しかし予備実験でマグネシウムの分解挙動を把握しない場合、本研究が失敗する可能性があった。また行った予備実験は今回の研究と無関係ではなく、予備実験の内容も実績として報告している。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験の準備は順調に進んでいるため、本年度内には論文作成に必要なデータ収集を行えると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた課題研究が予備実験を行った影響で進捗していないため。10万円は予備実験の結果を論文投稿した際の投稿費用として計上。
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