研究課題/領域番号 |
21K21047
|
研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
袖山 美奈子 九州歯科大学, その他部局等, 医員 (40911037)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 3Dプリント / 積層造形 / 生体模倣 / エナメル質 / クラウン |
研究実績の概要 |
積層造形法(3Dプリント)は造形物の形状任意性に優れ、2種類以上の材料を複合的に造形できることから補綴装置の作製方法として注目されている。一方、エナメル質と同等の力学的性質をもつ歯科材料は存在しない。そこで本研究では、申請者らの独自技術を基盤とし、エナメル質と同じ力学的性質をもつ3D プリント冠を創製することを目的とする。本年度は、造形精度の改善について取り組んだ。 3Dプリント用前駆体レジンの調製は以下のように行った。まず、ナノシリカ、HEMA、TEGDMA、POE、PrOHを所定の重量比になるように自公転ミキサーを用いて練和した。さらに光重合開始剤と光吸収剤を加え、再度自公転ミキサーを用いて練和した。得られた前駆体レジンを3Dプリント用レジンとした。一方、3D-CAD(Fusion360、Autodesk)にて所望の形状を設計し、STL形式のデジタルデータとした。このSTLデータを元に、調製した前駆体レジンを市販の3Dプリンター(ステレオリソグラフィー方式、MARS、ELEGOO)を用いて所定の形状に造形した。造形物の表面に残存した未重合モノマーをイソプロピルアルコールにて超音波洗浄にて除去した後、技工用光重合器にてポストキュアを5分間行うことで試料を得た。得られた造形物とSTLデータを比較することで造形精度について評価した。 U字型の造形物では、XY方法の造形精度はZ軸方向より良いことがわかった。造形精度は、光吸収剤の添加量によって変化し、光吸収剤を1wt%添加したものが最も良いことがわかった。造形物の表面清浄は、アルコールの洗浄時間に影響を受けることがわかった。例えば、洗浄時間が3分以上になると、未重合層だけでなく重合した層も一部溶解し、表面荒さが著しく大きくなることがわかった。本実験条件下では、1分以内の超音波洗浄が良いことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規3Dプリント冠の造形精度の向上について知見を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
実際のクラウン形状に造形し、その造形精度について詳細を調べる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で旅費が支出できなかった。その分、消耗品の購入に充てた。僅かに生じた差額は次年度に消耗品などで使用する予定である。
|