研究課題/領域番号 |
21K21051
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
堺 琴美 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (30907035)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | サルコペニア / 嚥下 / 栄養 |
研究実績の概要 |
研究目的1「サルコペニアによる身体機能障害(嚥下機能障害、日常生活動作)の病態を明らかにする」:3つの病院における脳卒中入院患者で収集したサルコペニアと退院時の状態に関するのデータの整理を行なった。退院時の状態とサルコペニアとの関連については、今後、解析予定である。 研究目的2「嚥下機能障害の評価方法の開発」:308名の入院高齢患者の首の写真を使用して、機械学習の手法により、嚥下障害のスクリーニングとして首の写真を使用することの精度を検証できた。その結果、嚥下障害の存在に対して、感度87.50%、特異度76.67%という精度で検出可能あった。研究結果は2021年11月に論文にて公表された。 研究目的3「身体機能障害の実態と介入方法のレビュー」:1)身体機能障害について:口腔に焦点をあてて、地域在住高齢者における口腔機能低下の実態についてシステマティックレビューとメタアナリシスを実施した。その結果、フレイルまたはサルコペニアのある高齢者は、それらのない高齢者と比較して口腔の筋力および運動機能が低下していることがわかった。現在、論文を執筆中であり、数ヶ月以内に論文を投稿予定である。2)介入方法:サルコペニアの原因の1つである「低栄養」への介入に焦点をあてて、さらにサルコペニアの影響が近年話題になっている脳卒中患者を対象にして、研究実施の背景およびシステマティックレビューとメタアナリシス実施の方法について詳細に執筆したプロトコル論文を、コクランライブラリーより2022年2月に出版した。現在、プロトコルに記載をした方法で研究を実施するためのメンバーを揃えて、役割分担を行い、文献レビューを実施中である。2023年中にレビューを完成させて、論文を投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に記載をした3つの目標のうち2つの目標は概ね達成できた状態であるため、おおむね順調であると判断をした。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的1「サルコペニアによる身体機能障害(嚥下機能障害、日常生活動作)の病態を明らかにする」:統計家の協力のもとに、データの解析を今後実施予定である。論文での公開は期間内で困難な可能性が高いものの、データ解析までは今年度中に実施を終了し、さらに論文執筆を行う予定である。 研究目的2「嚥下機能障害の評価方法の開発」:目標は達成できているため、次の展開にむけて新たな研究を計画する予定である。可能であれば、論文にて発表した解析手法とは違うものを利用して、さらに高精度な解析手法について本年度中に検討を行う予定である。 研究目的3「身体機能障害の実態と介入方法のレビュー」:地域在住高齢者における口腔機能の実態に関するレビューについては論文執筆がおおよそ終了している状態であるため、今年度内の論文出版を目指す。脳卒中患者における栄養介入のレビューについては、今年度内にレビューを終了し、論文執筆も終了予定である。コクランレビューにおける査読は時間を要するために、今年度内の論文公開は困難と思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、入院患者を対象に嚥下に関わるデータを取得するための機器を数品購入予定であった。しかし、病院においてCOVID-19クラスターが数回発生したことにより、臨床現場でデータを収集する目処を立てることができずに購入することができなかった。本年は、必要な機器を購入してデータを取得していく予定である。
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