研究課題/領域番号 |
21K21057
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
新見 ひろみ 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 医員 (60907971)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 歯根膜由来間葉系幹細胞 / photobiomodulation / 歯周組織再生 |
研究実績の概要 |
現在一般的に臨床応用されている、細胞をリソースとしないサイトカインや成長因子などを応用した歯周組織再生療法は、再生の範囲に限界がある。そこで、再生の適応範囲を広げるため、ヒト由来の歯根膜組織由来間葉系幹細胞(PDL-MSC)をシート状に加工してヒトへの移植を実施し、安全性と有効性が報告されている。この、安全で先進的な歯周組織再生療法の鍵として注目されるPDL-MSCは、ヒト他家移植による安全性と有効性も確認され、既に他家移植のための細胞バンクも樹立されている。しかしながら、PDL-MSCの状態により再生に差異があることも明らかになっており、より再生に適したPDL-MSCの作出が求められている。 本研究では、PDL-MSCへの光エネルギーの応用実験を行い、レーザーの光エネルギーによるphotobiomodulation効果がPDL-MSCの再生能へ与える影響を網羅的に解析する。シングルセル解析で、より歯周組織再生に有利なphotobiomodulation活性型PDL-MSCの同定と単離を行う。本研究で、光エネルギーを応用した新たな歯周組織再生療法の確立を目指す。 PDL-MSCを骨芽細胞誘導培地にて培養を行い、各条件のレーザーを照射、誘導培養後にアルカリフォスファターゼ活性を評価し、骨芽細胞の分化マーカー、歯根膜細胞の分化マーカーの発現をq-PCRにて確認した。急激な熱上昇のない出力でレーザーを照射されたPDL-MSCは、骨芽細胞の分化マーカー遺伝子発現が上昇した事が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PDL-MSCを骨芽細胞誘導培養を行い、各条件のレーザーを照射、誘導培養後にアルカリフォスファターゼ活性を評価、骨芽細胞の分化マーカーや歯根膜細胞の分化マーカーの発現をq-PCRにて確認し、照射条件の検討を完了している。また、骨芽細胞や歯根膜細胞に一番強く分化した照射条件において、RNAシークエンスにて網羅解析も行っており、レーザーを照射していないPDL-MSCとの比較検討のためのデータ解析も現在計画通りに遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
photobiomodulation活性型PDL-MSCの確立を目指して今後の研究を推進していく。 骨芽細胞や歯根膜細胞に最も強く分化した照射条件で照射したPDL-MSCを、レーザー照射していないPDL-MSCとの比較検討を、RNAシークエンスによる網羅解析にて実施する。 レーザー照射されたPDL-MSCは不均一な集団であるため、どの細胞集団が最も再生において効果的であるかの検討を行う。決定した条件でレーザー照射を行ったPDL-MSCのシングルセル解析(scRNA-seq)を外部業者に委託して行う。 細胞集団のクラスタリングを行い各クラスタの発現変動遺伝子を同定した上で、最も歯周組織再生に有利なクラスタの発現マーカーを同定する 。同定した発現マーカーを元にセルソーティングを行い、photobiomodulation活性型PDL-MSCを樹立する。 臨床応用に向けた安全性・有効性の検討のため、photobiomodualtion活性型PDL-MSCを通法に従い、(1)1000万細胞を免疫不全マウスにインジェク ション、(2)軟寒天試験、(3)核型解析を行うことで造腫瘍性試験ならびに安全性試験を実施する。photobiomoduation活性型PDL-MSCを用いて作製した細胞シートを象牙質ディスクと骨補填剤からなる特殊チャンバーを用いて免疫不全マウス皮下に移植し、その有効性を検討する。移植3 週後、12週後に切片を作成し、セメント質形成量、PDLスコアリング、靭帯走行の角度測定を行い定量的評価をするとともに、POSTN、S100A4、 ヒトミトコンドリア特異抗体を用いた免疫染色を行い、移植した細胞のin vivo分化能を従来のPDL-MSCシートと比較し、臨床応用への可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNAシークエンスを行うための、PDL-MSCへのレーザー照射条件検討に時間がかかっており、RNAシークエンスのランの外部委託費が令和3年度内に使用されなかったため。
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